最初に、いちばん都合の悪いことからお伝えします。この分野は、オーストラリアの永住(PR)にほぼ直結しません。画家・彫刻家・陶芸家・歌手・俳優といった職種は、現行の職業リストのどこにも載っていないものが大半です。それでも学ぶ意味がある分野だと弊社は考えていますが、その理由は「永住できるから」ではありません。このページは、その線引きを最初に明示したうえで、コース内容・収入の実態・現実的なビザの選択肢を順に整理します。
1. この分野は、永住(PR)に直結しません。
絵画・彫刻・陶芸・歌唱・演技といった、多くの方が「アート/音楽の留学」で思い浮かべる職種は、現行のオーストラリアの職業リストのほぼすべてに載っていません。具体的には、ANZSCO 211111 Actor(俳優)、211211 Composer(作曲家)、211214 Singer(歌手)、211411 Painter (Visual Arts)(画家)、211412 Potter or Ceramic Artist(陶芸家)、211413 Sculptor(彫刻家) は、弊社が確認した限り CSOL・186 Direct Entry・MLTSSL・STSOL・ROL のいずれにも掲載がありません。つまり、これらの職種を根拠にして技術独立ビザ(189)・州指名(190/491)・雇用主指名(482/186)を申請する道は、制度上ほぼ存在しません。
2. Diploma を修了しても、卒業ビザ(485)は取れません。
subclass 485 の Post-Vocational Education Work stream(職業教育卒業生向け)は、MLTSSL 掲載職種に関連する資格であることが条件です。Visual Arts や Music の Diploma に対応する職種は MLTSSL にほとんど載っていないため、Diploma だけで終える限り、卒業後の就労ビザは現実的に見込めません。一方で Post-Higher Education Work stream(学位修了者向け)は職業リストを問いません。この分野で 485 を目指すなら、学士(Bachelor)まで進むことがほぼ唯一の道です。
3. 留学生向けの「ファインアート(Visual Arts)」コースは、弊社では個別ページを確認できていません。
TAFE NSW の留学生向けサイトには Fine Arts という分野区分が存在します(31分野のひとつ)。しかし、その分野に属する個別コースのページ(コース名・CRICOS・学費・入学時期)を、弊社は今回の調査で確認できませんでした。留学生向けのコース検索ページは robots.txt により機械的な取得が禁止されているためです。したがって本ページの Visual Arts 側は、国内学生向けページと training.gov.au の資格情報を基に構成しており、留学生として実際に出願できるかどうかは別途 TAFE NSW への確認が必要です。音楽(Music)側は、留学生向けの個別コースページを確認できています。
4. 資格コードの世代交代が進んでいます。
国内学生向けページでは CUA50825 Diploma of Music、CUA31125 Certificate III in Visual Arts という 2025年版のコードが表示される一方、留学生向けページでは CUA50820/CUA31120 という 2020年版のコードが表示されています。移行期のため、出願時点でどちらのコードになるかは TAFE NSW の案内に従うことになります。本ページでは確認できたコードを両方併記しています。
5. それでも、この分野を学ぶ価値がないとは考えていません。
永住に直結しないことと、留学として意味がないことは別の話です。制作環境・講師・シドニーという都市そのもの・英語での批評訓練など、日本では得にくいものがこの分野には確かにあります。ただしそれは「投資に対する見返りが読みにくい選択」でもあります。弊社は、この分野を検討される方には、必ず「もし永住が第一目的なら、別の分野を勧めます」とお伝えしています。そのうえで進みたい方には、費用と時間の設計を一緒に組みます。
| 分野 | Fine Arts(ファインアート・ヴィジュアルアート)/ Music Studies(音楽) いずれも TAFE NSW の留学生向け分野区分(全31分野)に含まれています |
| 主なコース (音楽・留学生向け確認済) |
CUA30920C Certificate III in Music (Creation and Composition)/CRICOS 110848C CUA50820P Diploma of Music (Performance) CUA50820S Diploma of Music (Sound Production) CUA50820MB Diploma of Music (Business) CUA50820E Diploma of Music (Creation and Composition) HE20634 Bachelor of Creative Practice (Music Production and Performance)/CRICOS 113601B |
| 主な資格 (Visual Arts・国内学生向け/training.gov.au) |
CUA41320 Certificate IV in Visual Arts(15ユニット) CUA51120 Diploma of Visual Arts(15ユニット) CUA60720 Advanced Diploma of Visual Arts(12ユニット) CUA31120/CUA31125 Certificate III in Visual Arts 留学生向けの提供状況は弊社では確認できていません |
| 期間 | Certificate III in Music:0.5年/Diploma of Music:1年/Bachelor(HE20634):2年(Diploma 1年+学士2年の3年パッケージとして案内されています) |
| キャンパス | 音楽は Ultimo(シドニー中心部)と公表されています。Visual Arts の留学生向け開講キャンパスは未確認です |
| 入学時期 | 音楽:2月・7月(TAFE NSW International 掲載) |
| 学費(公表値) |
CUA30920C:A$8,800〜9,550 CUA50820P:A$12,710 CUA50820S/CUA50820MB:A$12,710〜13,220 HE20634:A$50,000〜52,800 いずれも TAFE NSW International の掲載値。Visual Arts の留学生学費は未確認のため、本ページには金額を書きません |
| 英語条件 | Diploma of Music:IELTS Academic 6.0(各バンド 5.5 以上)と公表されています |
| 選考 | Performance/Business はオーディション(動画・音声提出、または Zoom / Teams)、Sound Production はポートフォリオまたは面接と公表されています |
| 関連 ANZSCO | 211111 Actor/211211 Composer/211212 Music Director/211213 Musician (Instrumental)/211214 Singer/211299 Music Professionals nec/211311 Photographer/211411 Painter (Visual Arts)/211412 Potter or Ceramic Artist/211413 Sculptor/212312 Director/399516 Sound Technician ほか |
| ビザ上の位置づけ | 重要アーティスト・歌手・作曲家系はどの職業リストにも未掲載。Musician (Instrumental)・Music Director は MLTSSL に掲載されているものの CSOL には未掲載。Sound Technician は CSOL と STSOL に掲載 |
| 現実的なビザ | subclass 500(学生)+ subclass 485 Post-Higher Education Work(学位修了者向け・職業リスト不要)。それ以外は極めて限定的 |
出典:TAFE NSW International 各コースページ、training.gov.au 各資格リリースファイル、Migration (Specification of Occupations—Subclass 482 Visa) Instrument 2024(F2024L01620)、Migration (LIN 19/051) Instrument 2019(F2019L00278・2026年3月28日時点の編集版)。詳細リンクはページ末尾の出典一覧に掲載しています。
この分野は、大きく Visual Arts(ヴィジュアルアート=ファインアート系)と Music(音楽系)の二本立てです。どちらも CUA(Creative Arts and Culture)というトレーニングパッケージに属し、実技を中心に組まれています。以下のユニット構成は、すべて training.gov.au が公開している各資格のリリースファイル(PDF・いずれも Release 1、2021年4月17日)から確認したものです。
選択9のうち4ユニットは Group A、3ユニットは Group A または B から選ぶ構成です。
選択10のうち6ユニットは Group A または C、2ユニットは Group B、残り2ユニットは任意という構成です。
選択6のうち4ユニットは Group A から選ぶ構成です。制作よりも「自分の作品を社会に出す」側面が強くなります。
留学生向けの提供有無は弊社では確認できていません。
| ユニットコード | ユニット名 | 内容の要旨 |
|---|---|---|
| CUAACD311 | Produce drawings to communicate ideas | アイデアを伝えるためのドローイング。この分野の基礎技能です |
| CUAPPR411 | Realise a creative project | 企画から完成までを一人でやり切る制作プロジェクト |
| CUAPPR414 | Develop self as artist | 作家としての自己像・方向性を言語化する |
| CUAPPR415 | Develop and discuss ideas for own creative work | 自作について構想を練り、他者と議論する |
| CUARES403 | Research history and theory to inform own arts practice | 美術史・理論を調べ、自分の制作に反映させる |
| CUAWHS312 | Apply work health and safety practices | 工房・素材・機材の安全管理 |
| ユニットコード | ユニット名 | 内容の要旨 |
|---|---|---|
| CUAACD531 | Refine drawing and other visual representation tools | ドローイングと視覚表現手法を洗練させる |
| CUAPPR511 | Realise a body of creative work | 単発の作品ではなく「作品群(body of work)」を成立させる |
| CUAPPR512 | Develop sustainability of own professional practice | 制作活動を継続できる形にする(収入源・時間配分を含む) |
| CUAPPR513 | Present a body of own creative work | 作品群を展示・発表する |
| CUAPPR515 | Establish and maintain safe creative practice | 安全な制作環境の確立と維持 |
Diploma の段階で「作品群を作り、発表し、続けられる形にする」という設計になっているのが特徴です。日本の美術系専門学校が技法習得に重心を置きがちなのに対し、豪州の VET 資格は職業実践としての制作を明示的にユニット化しています。
| ユニットコード | ユニット名 | 内容の要旨 |
|---|---|---|
| BSBCRT611 | Apply critical thinking for complex problem solving | 複雑な課題に対する批判的思考。ビジネス系パッケージからの流用ユニットです |
| CUAACD611 | Extend professional expertise with drawing and other visual representation tools | 視覚表現の専門性をさらに広げる |
| CUAPPR611 | Originate a body of independent creative work | 独立した作家として作品群を創出する |
| CUAPPR613 | Engage in the business of creative practice | 制作を「事業」として運営する |
| CUAPPR614 | Publicly present a body of own creative work | 公的な場での作品群の発表 |
| CUARES612 | Extend cultural research expertise | 文化研究の専門性を深める |
音楽側は、留学生向けページで実際に募集が確認できたコースがあります。CUA50820 Diploma of Music は5つの専攻(specialisation)に分かれており、TAFE NSW International では専攻ごとに別コードで案内されています。
| コード | コース名 | 専攻の内容 | 留学生向け確認 |
|---|---|---|---|
| CUA30920C | Certificate III in Music (Creation and Composition) | 作曲・制作の入門。3コア+11専攻ユニット | 確認済CRICOS 110848C |
| CUA50820P | Diploma of Music (Performance) | 演奏。楽器・歌唱によるパフォーマンス | 確認済 |
| CUA50820S | Diploma of Music (Sound Production) | 音響制作・レコーディング・ポストプロダクション | 確認済 |
| CUA50820MB | Diploma of Music (Business) | 音楽ビジネス。マネジメント・レーベル・興行 | 確認済 |
| CUA50820E | Diploma of Music (Creation and Composition) | 作曲・楽曲制作 | 検索では確認個別ページは取得できず |
| CUA40920 | Certificate IV in Music | 14ユニット(コア4+選択10) | 未確認留学生向け開講は確認できず |
| CUA60520 | Advanced Diploma of Music | 15ユニット(コア4+選択11) | 未確認留学生向け開講は確認できず |
| HE20634 | Bachelor of Creative Practice (Music Production and Performance) | 学士。音響技術・サウンドデザイン・スタジオ実務・映像/インタラクティブメディア向け音楽・作曲/制作・キャップストーン、加えて事業・起業・デジタルマーケティング | 確認済CRICOS 113601B |
| ユニットコード | ユニット名 | 内容の要旨 |
|---|---|---|
| CUACMP511 | Manage copyright arrangements | 著作権の管理。音楽で生計を立てるうえでの根幹 |
| CUAIND412 | Provide freelance services | フリーランスとしてサービスを提供する |
| CUAIND512 | Enhance professional practice using creative arts industry knowledge | 業界知識を使って自分の実務を高める |
| CUAMWB401 | Develop and implement own self-care plan in the creative industries | クリエイティブ産業におけるセルフケア計画。精神的な消耗が起きやすい業界であることを前提としたユニットです |
Diploma of Music は合計16ユニット(コア4+選択12)で、選択のうち最低9ユニットは指定グループから、Group F からは最大3ユニットまで、という構成が training.gov.au に記載されています。CUA50815 Diploma of Music Industry を承継しますが、同等ではない(not equivalent)と明記されています。
| ユニットコード | ユニット名 |
|---|---|
| BSBESB301 | Investigate business opportunities |
| CUACMP311 | Implement copyright arrangements |
| CUAIND411 | Extend expertise in specialist creative fields |
| CUAMWB402 | Manage feedback on creative practice |
| ユニットコード | ユニット名 |
|---|---|
| CUACMP511 | Manage copyright arrangements |
| CUAMLT512 | Assess significance of music and apply knowledge to professional practice |
| CUAPPR515 | Establish and maintain safe creative practice |
| CUAPPR613 | Engage in the business of creative practice |
TAFE NSW が自ら授与する学位(Higher Education)です。留学生向けページで公表されている内容は次のとおりです。
この学位が、この分野で唯一「485 につながる」ルートです。subclass 485 の Post-Higher Education Work stream は職業リストを問いません。逆に言えば、Diploma だけで終える限り卒業ビザは見込めません。音楽・アート分野で豪州に一定期間残ることを考えるなら、学士まで進む前提で費用と時間を設計する必要があります。詳しくは次の「③ ビザ対応職種としての扱い」で整理します。
なお、Visual Arts(ファインアート)側については、TAFE NSW の国内学生向け Visual Arts ページに HE20634 Bachelor of Creative Practice が併記されています。ただしファインアート専攻の学士があるかどうかは、弊社では確認できていません。同系統の学士としては HE20620 Bachelor of 3D Art and Animation が留学生向けに提供されていますが、これは デザイン・ファッション分野のページで扱っています。
TAFE NSW が各コースページで挙げている職種と、それに対応する ANZSCO(オーストラリア・ニュージーランド標準職業分類)コードを対照します。ANZSCO のコード番号と職業名は オーストラリア統計局(ABS)の ANZSCO 2022 版で確認しました。
ANZSCO コードについてのご注意。この分野は職業名とコードの対応を取り違えやすいところです。弊社が ABS の分類で確認した正しい対応は次のとおりです。
211411 = Painter (Visual Arts)(画家)、211412 = Potter or Ceramic Artist(陶芸家)、211413 = Sculptor(彫刻家)、211213 = Musician (Instrumental)(器楽奏者)、211214 = Singer(歌手)です。「211411 = Singer」「211412 = Musician」「211211 = Painter」「211213 = Sculptor」という対応は誤りです。ビザの検討で職種コードを取り違えると結論そのものが変わりますので、この点は最初に確認しておく価値があります。
| ANZSCO | 職業名 | Skill Level | TAFE NSW が挙げているコース |
|---|---|---|---|
| 211211 | Composer | 1 | Diploma of Music (Creation and Composition) |
| 211212 | Music Director | 1 | Advanced Diploma / 学士段階 |
| 211213 | Musician (Instrumental) | 1 | Diploma of Music (Performance) |
| 211214 | Singer | 1 | Diploma of Music (Performance) |
| 211299 | Music Professionals nec | 1 | 各専攻 |
| 249214 | Music Teacher (Private Tuition) | 1 | Diploma of Music (Music Tuition) 専攻 |
| 399516 | Sound Technician | 3 | Diploma of Music (Sound Production) |
| 399599 | Performing Arts Technicians nec | 3 | Sound Production 専攻ほか |
TAFE NSW International が Diploma of Music (Performance) のページで挙げている進路は、Recording Artist(レコーディングアーティスト)、Session Musician(セッションミュージシャン)、Session Singer(セッションシンガー)、Live Performer(ライブパフォーマー)、Songwriter / Jingle Writer(作詞作曲・CM音楽)、Multimedia Composer(マルチメディア作曲)です。
Diploma of Music (Sound Production) では、Music producer(音楽プロデューサー)、Post-production editor(ポストプロダクション編集)、Assistant sound mixer(アシスタント音響ミキサー)、Audio-visual operator(AV オペレーター)、Live sound assistant(ライブ音響アシスタント)が挙げられています。
Diploma of Music (Business) では、Artist Manager(アーティストマネージャー)、Record Label Staff(レーベルスタッフ)、Music Promoter(音楽プロモーター)、Music Publisher(音楽出版)、Licensing Manager(ライセンス管理)、Tour Manager(ツアーマネージャー)、Booking Agent(ブッキングエージェント)が挙げられています。
Certificate III in Music (Creation and Composition) では、Songwriter(ソングライター)、Studio Assistant(スタジオアシスタント)、Producer(プロデューサー)、および制作会社・レコード会社・音楽教室のアシスタント職が挙げられており、Diploma of Music (Creation and Composition) への進学の入口として位置づけられています。
| ANZSCO | 職業名 | Skill Level | 備考 |
|---|---|---|---|
| 211411 | Painter (Visual Arts) | 1 | 画家。絵画制作を職業とする |
| 211412 | Potter or Ceramic Artist | 1 | 陶芸家。セラミックス系 |
| 211413 | Sculptor | 1 | 彫刻家 |
| 211499 | Visual Arts and Crafts Professionals nec | 1 | ジュエリー作家などはここに入ることが多い区分です |
| 211311 | Photographer | — | 写真家。ANZSCO では 2113 に独立した副大分類が置かれています |
| 211111 | Actor | — | 俳優 |
| 211112 | Dancer or Choreographer | — | ダンサー・振付家 |
| 212312 | Director (Film, Television, Radio or Stage) | — | 監督・演出家 |
| 249211 | Art Teacher (Private Tuition) | — | 美術の個人指導 |
Ceramics(陶芸)と Jewellery(ジュエリー)について。ご相談の際にご希望の多い領域ですが、TAFE NSW の国内学生向け Visual Arts ページには、陶芸およびジュエリーの独立した資格の掲載を確認できませんでした。同ページに掲載されていたのは Certificate III in Visual Arts(CUA31125-01 / CUA31120-01)、Diploma of Visual Arts(CUA51120-01)、Bachelor of Creative Practice(HE20634)、および8つの短期 TAFE Statement コースのみです。Advanced Diploma of Visual Arts(CUA60720)も同ページには掲載されていませんでした。陶芸・ジュエリー・上級ディプロマの現在の開講状況は、TAFE NSW への個別照会が必要です。
なお、第三者の留学情報サイトには「TAFE NSW Advanced Diploma of Visual Arts、1年、Meadowbank キャンパス、6月入学、IELTS 5.5」といった記載が見られますが、TAFE NSW 自身の公開情報で裏付けが取れなかったため、本ページでは採用していません(同サイトには学費として米ドル建ての金額が記載されていましたが、これも裏付けが取れないため掲載しません)。
ここが、この分野を検討するうえで最も重要なセクションです。職種ごと・リストごとに、掲載されているか/されていないかを一つずつ書きます。根拠としたのは次の2つの法令文です。
| ANZSCO | 職業名 | CSOL 482 Core Skills |
186 DE 雇用主指名・永住 |
MLTSSL 189/190/491/485 |
STSOL 190/491 等 |
ROL |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 211111 | Actor | なし | なし | なし | なし | なし |
| 211112 | Dancer or Choreographer | なし | なし | ありVETASSESS | なし | なし |
| 211211 | Composer | なし | なし | なし | なし | なし |
| 211212 | Music Director | あり | あり | ありVETASSESS | なし | なし |
| 211213 | Musician (Instrumental) | なし | なし | ありVETASSESS | なし | なし |
| 211214 | Singer | なし | なし | なし | なし | なし |
| 211299 | Music Professionals nec | なし | なし | なし | あり | なし |
| 211311 | Photographer | なし | なし | なし | あり | なし |
| 211411 | Painter (Visual Arts) | なし | なし | なし | なし | なし |
| 211412 | Potter or Ceramic Artist | なし | なし | なし | なし | なし |
| 211413 | Sculptor | なし | なし | なし | なし | なし |
| 211499 | Visual Arts and Crafts Professionals nec | なし | なし | なし | なし | なし |
| 212111 | Artistic Director | あり | あり | ありVETASSESS | なし | なし |
| 212312 | Director (Film, Television, Radio or Stage) | なし | なし | なし | あり | なし |
| 212313 | Director of Photography | なし | なし | なし | なし | なし |
| 212314 | Film and Video Editor | なし | なし | なし | あり | なし |
| 212315 | Program Director (Television or Radio) | あり | あり | なし | あり | なし |
| 212316 | Stage Manager | あり | あり | なし | あり | なし |
| 212317 | Technical Director | あり | あり | なし | あり | なし |
| 212318 | Video Producer | あり | あり | なし | あり | なし |
| 249211 | Art Teacher (Private Tuition) | なし | なし | なし | あり | なし |
| 249214 | Music Teacher (Private Tuition) | あり | あり | なし | あり | なし |
| 399513 | Light Technician | あり | あり | なし | なし | なし |
| 399516 | Sound Technician | あり | あり | なし | ありTRA | なし |
| 399599 | Performing Arts Technicians nec | あり | あり | なし | ありVETASSESS | なし |
「VETASSESS」「TRA」は、その職種の技能査定を担当する機関として法令に指定されているものです。空欄の職種は、そもそもリストに載っていないため査定機関の指定もありません。ROL(Regional Occupation List・Schedule 3)には、211/212/249/3995 で始まる職業コードが一つも含まれていません。したがって上表の ROL 列はすべて「なし」となります。
アーティスト本体の職種は、事実上すべて閉じています。Actor、Composer、Singer、Painter (Visual Arts)、Potter or Ceramic Artist、Sculptor、Visual Arts and Crafts Professionals nec、Director of Photography ——これらは CSOL・186 DE・MLTSSL・STSOL・ROL の4リストすべてに掲載がありません。「作品を作る人」「歌う人」「演じる人」という立場でオーストラリアの技能移民制度に乗ることは、現行制度ではできません。
唯一の例外的な明るい材料が、Musician (Instrumental)(211213)と Music Director(211212)です。この2職種は MLTSSL に掲載されており、査定機関は VETASSESS です。理論上は subclass 189・190・491 の対象になり得ます。
ただし現実には次の壁があります。
・Musician (Instrumental) は CSOL に載っていないため、482 も 186 Direct Entry も使えません。雇用主が支援したくても制度上の受け皿がありません。
・VETASSESS の 211213 は Group B に分類され、AQF Bachelor 以上に相当する音楽・音楽理論・作曲の学位と、資格取得後1〜6年(申請経路により異なる)の高度に関連する職務経験(週20時間以上)が求められると公表されています。Diploma では査定を通せません。
・2025年の Occupation Shortage List において、Musician (Instrumental) は全国および全州・準州で「NS(No Shortage・不足なし)」と評価されています。不足職種ではない以上、州指名(190/491)で選ばれる可能性も現実的には高くありません。
裏方・技術職には道があります。Sound Technician(399516)は CSOL と STSOL の両方に掲載されており、査定機関は TRA です。Light Technician(399513)、Performing Arts Technicians nec(399599)、Stage Manager(212316)、Technical Director(212317)、Video Producer(212318)も CSOL に掲載されています。Diploma of Music (Sound Production) を選び、音響技術者として実務経験を積むルートは、この分野の中では最も制度に乗りやすい方向です。ただし CSOL 掲載は「雇用主が見つかれば 482 の対象になり得る」という意味であって、就職が保証されるわけではありません。
| ビザ | この分野での現実性 | 理由 |
|---|---|---|
| subclass 500 (学生) | 現実的 | CRICOS 登録コースであれば通常どおり申請できます。この分野で最初に取るビザです |
| subclass 485 Post-Higher Education Work | 現実的 | 職業リスト不要・技能査定不要。学士以上の修了が条件。この分野で卒業後に残る唯一の実用的な選択肢です |
| subclass 485 Post-Vocational Education Work | ほぼ不可 | MLTSSL 掲載職種に関連する資格が必要。Visual Arts / Music の Diploma では要件を満たしにくい構成です |
| subclass 482 Core Skills | 技術職のみ | Sound Technician・Light Technician・Stage Manager 等は CSOL 掲載。演奏家・アーティスト本体は不可 |
| subclass 186 Direct Entry | 技術職のみ | CSOL を参照する構成のため、482 と同じ制約がかかります |
| subclass 189 / 190 / 491 | 極めて困難 | Musician (Instrumental) と Music Director は MLTSSL 掲載だが、学士以上+実務経験の査定が必要で、かつ不足職種ではありません |
| subclass 858 National Innovation Visa | 極めて困難 | 後述。国際的に認められた卓越した実績が条件です |
| subclass 408 Entertainment Activities | 仕事があれば | 後述。留学の出口としてではなく、仕事が先に決まっている人のための一時ビザです |
この分野で唯一現実的な卒業後ビザなので、要件を具体的に書きます。以下は登録移民代理人事務所が公開している解説で確認した内容であり、弊社では移民局の一次情報での最終確認ができていません(移民局のビザ詳細ページは動的生成のため、機械的な取得ができませんでした)。出願前に必ず最新の要件をご確認ください。
ここから逆算すると、この分野の設計はこうなります。Diploma of Music(1年)+ HE20634 Bachelor(2年)=計3年。この3年で Australian Study Requirement の92週を満たし、学士を修了して 485 Post-Higher Education Work に進む。これが TAFE NSW のこの分野で組める、最も筋の通ったルートです。ただし学費だけで A$60,000 超(Diploma A$12,710 前後+学士 A$50,000〜52,800)になります。生活費は別途です。
職業リストの全体像については CSOL(Core Skills Occupation List)の解説ページ、ビザ制度の全体像については ビザ・永住の基礎ページもあわせてご覧ください。
アート・音楽分野の留学をお考えの方から、「才能ビザがあると聞いた」というご相談をいただくことがあります。実際に存在します。ただし要件は極めて高く、留学の出口として設計できるものではありません。正直に書きます。
subclass 858 は現在 National Innovation Visa(NIV)という名称に変わっています。永住ビザであり、対象分野には芸術(the arts)が含まれています。ただし求められるのは、「国際的に認められた、卓越し傑出した実績(an internationally recognised record of exceptional and outstanding achievement)」です。
これは「豪州で3年学んで作品を発表した」という水準の話ではありません。実務上は、国際的な主要賞の受賞歴、主要美術館・主要オーケストラでの実績、国際的に流通する作品や録音、国際メディアでの継続的な言及といったものが問われます。留学を経てこのビザに至る方は、統計的にはほとんどいません。存在は知っておく価値がありますが、計画の前提にはできません。
移民局の subclass 858 ページは動的生成のため、弊社では詳細な要件・申請料・推薦者(nominator)要件までを一次情報で確認できていません。ご検討の際は移民局ページと登録移民代理人による個別確認が必要です。
subclass 408 の Entertainment Activities stream は、「映画・テレビ・ライブ制作など、エンターテインメント産業の仕事のためにオーストラリアに来る」ための一時ビザです。滞在は最長2年と案内されています。
重要なのは、これは「仕事が先にある人」のためのビザだという点です。豪州側の受け入れ主体(スポンサー/サポーター)と、具体的な出演・制作の予定があって初めて成り立ちます。学校を卒業して、これから仕事を探す人が使えるビザではありません。また一時ビザであり、永住への直接の道筋にはなりません。
408 のスポンサー要件・申請料・労働組合(業界団体)の協議手続きについては、弊社では一次情報での確認ができていません。実際に該当する案件が出てきた場合は、当社在籍の登録移民代理人が個別に確認します。
まとめると、この分野のビザの現実は次のとおりです。
この分野については、オーストラリア政府の芸術支援機関 Creative Australia が実施している大規模調査があります。Artists as Workers: An Economic Study of Professional Artists in Australia(第7版、2021/22年度データ、実践的プロの芸術家637名を対象)です。これはこの分野を検討する方が最初に読むべき数字だと弊社は考えています。楽な数字ではありません。
オーストラリアのプロ芸術家の収入(Creative Australia 調査より)
| 全収入源を合わせた平均総収入 | A$54,500 これは豪州の全労働者平均を26%下回る水準と報告されています |
| そのうち創作活動による収入 | A$23,200 |
| 芸術関連(教える等)の収入 | A$15,300 |
| 芸術以外の仕事による収入 | A$16,000 |
| 創作活動が総収入に占める割合 | 42% |
| 創作収入が年 A$10,000 未満の人 | およそ半数弱 |
| 総収入が年 A$10,000 未満の人 | 約16% |
| 創作活動だけでフルタイムに従事している人 | 9%(2016年調査の23%から低下) |
| 男女差 | 女性芸術家の収入は男性より19%低い(2023年の一般労働市場の男女賃金差12%より大きい) |
| 豪州の実践的プロ芸術家の推計数 | 約50,000人 |
出典:Creative Australia「Artists as Workers」および Macquarie University Lighthouse の解説記事。リンクは出典一覧に掲載しています。
この数字の読み方について、弊社の見解を書きます。「平均 A$54,500」という数字は、日本の感覚では悪くないように見えるかもしれません。しかしこれは芸術以外の仕事の収入を含めた合計であり、創作そのものからの収入は A$23,200 にとどまります。しかもシドニーの生活費を考えると、この水準で単独世帯を維持するのは容易ではありません。「創作だけで食べている人は9%」という数字が、この分野の実態を最も端的に表しています。
一方で、芸術・文化セクターの被雇用ポジション(美術館、劇場、フェスティバル、アートセンター、教育機関などの職員)については、別の姿が見えます。業界メディア ArtsHub が 2023/24年度の求人広告を集計した結果として公表している給与帯の分布は次のとおりです。
| 年収帯 | 給与を明示した求人に占める割合 |
|---|---|
| A$70,000〜90,000 | 25% |
| A$90,000〜100,000 | 16% |
| A$100,000〜130,000 | 14% |
| A$50,000〜70,000 | 11% |
| A$130,000 超 | 3% |
同集計では、求人を出した雇用主の約75%が給与を明示していたとされています。出典:ArtsHub。なお、この分布は「組織に雇われる仕事」の分布であって、フリーランスの作家・演奏家の実態ではありません。両者を混同しないことが重要です。
求人サイト SEEK は、2026年5月時点で「オーストラリアの Musician の平均給与は A$75,000〜85,000」と掲載しています。ただしこれは「フルタイム求人として広告が出た職」だけを集計した数字です。音楽分野でフルタイム求人として出るのは音楽教室・学校の指導職が中心であり、演奏家として舞台に立つ仕事の実態を表す数字ではありません。この違いは、この分野の年収情報を見るときに常に意識する必要があります。
Occupation Shortage List における評価。2025年版の Occupation Shortage List において、211213 Musician (Instrumental) は全国および全州・準州で「NS(No Shortage・不足なし)」と評価されています。人手不足職種ではないということです。これは州指名(190/491)での選定可能性にも直接影響します。
弊社が確認できた範囲で、この分野の学びが実際の雇用につながりやすい領域を挙げます。
比較のために、日本側の数字を挙げます。以下は厚生労働省の職業情報提供サイト job tag の掲載値で、年収は令和7年賃金構造基本統計調査、就業者数は令和2年国勢調査を基にしたものと同サイトに記載されています。
| 職業 | 平均年収 | 労働時間 | 就業者数 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| オーケストラ奏者(団員) | 544万円 | 166時間/月 | 26,080人 | job tag |
| 録音エンジニア | 470.9万円 | 165時間/月 | 61,760人 | job tag |
| 音楽教室講師 | 442万円 | 165時間/月 | 70,110人 | job tag |
| 陶磁器技術者 | 611.9万円 | — | 79,260人 | job tag |
| 陶磁器製造工 | 467.6万円 | — | 139,770人 | job tag |
録音エンジニアの学歴構成が示唆的です。job tag の同ページでは、この職業に就いている方の50.0%が専門学校卒、30.4%が大学卒と掲載されています。日本では音響の仕事に専門学校経由で入る方が多数派だということです。これは TAFE NSW の Diploma of Music (Sound Production) と職業教育としての位置づけが近く、比較しやすい領域です。
なお弊社は job tag の他の職業ページも複数確認しましたが、一部のページで異なる職業に同一の年収・就業者数が表示される事象があり、機械的な取得の限界と判断しました。そのため本ページには、繰り返し確認して安定して同じ値が得られた職業のみを掲載しています。
3,988億円
内訳:音楽ソフト 約2,288億円(CD 1,686億1,900万円、音楽ビデオ 507億1,500万円、その他 94億5,200万円)/音楽配信 約1,700億円(ストリーミング・サブスクリプション 1,377億3,600万円、広告収入 202億2,000万円、ダウンロード 114億1,000万円)
8,564億円(前年比 +12.6%、3年連続で過去最高)
動員 9,223万人(+7.7%)/公演回数 100,820回(+6.0%)/1人あたり単価 9,286円(+4.5%)。2035年には1兆1億円規模へ拡大するとの予測も示されています
日本のライブ市場が3年連続で過去最高を更新している一方、レコード市場は音楽配信の伸びが CD の減少を補う構図が続いています。「音楽で働く」の重心が、パッケージ販売からライブと配信に移っていることが、この2つの数字から読み取れます。音響・照明・舞台といった技術職の需要はライブ市場の拡大と連動しますので、その意味では日本国内でも Sound Production 系の学びは活かしやすい方向にあります。
日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が「芸能実演家・スタッフの活動と生活実態調査」を継続的に実施しています。最新は第11回(2024年度実施、53加盟団体対象、実演家の平均年齢51.7歳、スタッフ53.4歳)です。弊社は結果速報ページと第10回報告書 PDF の所在までは確認できましたが、個別の収入金額を本ページに引用できる形で抽出することはできませんでした。リンクは出典一覧に掲載していますので、ご検討の際は原典をご覧ください。
日豪の比較で言えること。日本の音楽関連の職業は、job tag ベースで見る限り年収440万〜540万円台に分布しており、これは「その職に就いている人」の平均です。オーストラリアの芸術家調査が示す A$23,200(創作収入)という数字とは、そもそも集計の母集団が違います。日本の数字は「職に就いた人」、豪州の数字は「創作を続けている人」を数えています。この違いを踏まえずに数字だけを並べると判断を誤ります。両国とも、この分野で安定した収入を得るには「創作」と「それ以外の仕事」の組み合わせが前提になる、という点は共通しています。
同じ分野を日本の専門学校で学ぶ場合との比較材料として、実在を確認した2校を挙げます。弊社はこれらの学校と提携関係にはありません。あくまで、進路の選択肢を並べて考えていただくための参照です。
ファインアート科、ヴィジュアルデザイン科などを置く美術系専門学校です。絵画・版画を中心としたファインアートの教育を長く行ってきた学校で、TAFE NSW の Diploma / Advanced Diploma of Visual Arts と比較しやすい位置にあります。
2年制の学科として、ヴォーカル、プロミュージシャン、ジャズ・ポピュラー、アレンジ・作曲、ミュージックビジネス、音響・映像・照明、声優、ダンス、ミュージカル、ピアノ、管弦打楽器を置いています。ほかに4年制の音楽総合アカデミー学科、附帯教育としてコンセルヴァトアール ディプロマ科があります。TAFE NSW の Diploma of Music の5専攻とほぼ同じ領域を、より細かい学科に分けているのが構造上の違いです。
| 観点 | 日本の専門学校 | TAFE NSW |
|---|---|---|
| 学科の分け方 | 職種ごとに細かく分ける(ヴォーカル科/作曲科/音響科…) | 1つの資格の中に専攻(specialisation)を置く。共通コアユニットがある |
| 期間 | 2年制が中心、4年制もあり | Certificate III 0.5年/Diploma 1年/学士2年 |
| 評価の単位 | 科目・単位 | ユニット単位のコンピテンシー評価(できるかどうかで判定) |
| ビジネス科目 | 学科によっては選択 | 著作権管理・フリーランス業務が Diploma の必修コアに入っている |
| 学位への進み方 | 大学編入・専門士から | 同一機関内で Diploma から学士(HE20634)へ進める |
| 言語 | 日本語 | 英語。批評・プレゼンテーションも英語で行う |
学費については、日本の専門学校も TAFE NSW も年度ごとに改定されます。両者を比較する際は必ず各校の最新の公表値をご確認ください。弊社は推測での金額比較は行いません。
ここまで、都合の悪いことを先に並べてきました。そのうえで、この分野をオーストラリアで学ぶ意味について、弊社が実際にお伝えしていることを書きます。「永住できるから」という理由は含まれません。
Diploma of Visual Arts のコアユニットは「作品群(body of work)を成立させる」「それを発表する」「制作を継続できる形にする」という3点で構成されています。これは「1年間、作品を作り続けることが学業になる」ということです。日本で働きながら制作時間を確保することの難しさを考えると、この構造自体に価値があります。音楽側も同様で、Diploma of Music (Performance) は演奏と楽曲制作が課題そのものです。
音楽コースの開講キャンパスは Ultimo、シドニー中心部です。徒歩圏に美術館・ギャラリー・ライブハウス・スタジオが集積しています。学生という立場は、この分野では想像以上に有利に働きます。「観に行く人」ではなく「関係者」として現場に入れる期間が2年なり3年なり続くということで、これは短期の観光や社会人としての単発の滞在では得にくいものです。オーストラリアは移民国家であるため、シーンの構成も多国籍です。日本人としての視点が「珍しさ」ではなく「一つの視点」として扱われやすい環境でもあります。
この分野の授業は、実技と講評(critique)が中心です。自分の作品について英語で説明し、他人の作品について英語で意見を言うという訓練が、毎週の課題として組み込まれています。これは語学学校では代替しにくい種類の英語です。作品という具体物が目の前にあるため、抽象的な会話練習より発話の必然性が高く、結果として定着しやすい面があります。
Diploma of Music の入学英語条件は IELTS Academic 6.0(各バンド 5.5 以上)と公表されています。これは決して低くありませんが、英語力を上げてから来るのではなく、英語力を上げながら創作もするという設計が可能な水準です。英語条件に届いていない方は、TAFE NSW と連携する語学課程から始める方法があります。
CUA50820 Diploma of Music の必修コアには Manage copyright arrangements(著作権の管理)と Provide freelance services(フリーランスとしてのサービス提供)が入っています。CUA60720 Advanced Diploma of Visual Arts には Engage in the business of creative practice(制作を事業として運営する)があります。「作品を作れること」と「作品で生きていけること」は別の能力だという前提が、資格の設計そのものに書き込まれています。日本の美術・音楽教育で、この部分が必修になっていることは多くありません。
CUA50820 のコアには Develop and implement own self-care plan in the creative industries(クリエイティブ産業における自己ケア計画の策定と実行)というユニットがあります。この業界が精神的に消耗しやすいことを制度側が認めたうえで、対処法を教えるという姿勢です。弊社はこれを、この分野の豪州の職業教育で最も特徴的な点の一つだと考えています。
それでも、繰り返しお伝えします。上に書いた5つは、いずれも「留学として得られるもの」です。「豪州に残れること」ではありません。この分野を選ぶということは、2〜3年分の学費と生活費、そして日本でのキャリアの中断を、上記のような無形の獲得と交換するという判断です。それが妥当かどうかは人によります。弊社は、この分野のご相談では必ず「永住が第一目的なら別の分野を勧めます」と最初に申し上げています。そのうえで進むと決めた方には、費用と時間の設計をご一緒します。
TAFE NSW International は、学歴条件を出願者の学歴・年齢・過去の学習歴に応じて判断すると案内しています。日本の高校卒業(12年課程修了)が、Certificate・Diploma 段階の一般的な出発点です。ただしこの分野は、学歴以上に「選考課題」が実質的な入学条件になります。
| CUA50820P Diploma of Music (Performance) | オーディション。動画または音声の提出、あるいは Zoom / Teams によるオンライン実施と公表されています。2つの異なるジャンルを演奏することが求められます |
| CUA50820MB Diploma of Music (Business) | Zoom / Teams によるオーディションと公表されています |
| CUA50820S Diploma of Music (Sound Production) | ポートフォリオまたは面接と公表されています |
| Visual Arts 系 | 一般に作品ポートフォリオの提出が求められる分野ですが、留学生向けの具体的な選考方法を弊社は確認できていません |
オーディション・ポートフォリオの準備は、出願の数か月前から始めてください。この分野は、英語条件をクリアしていても選考課題で決まります。演奏動画の撮影、2ジャンルの選曲、作品の撮影と構成、英語での作品説明文。いずれも一朝一夕には整いません。弊社では、出願時期から逆算して準備スケジュールをお作りしています。渡航希望時期が決まっている方ほど、早めのご相談をお勧めします。
Diploma of Music については、IELTS Academic 総合 6.0、各バンド 5.5 以上と TAFE NSW International のコースページに公表されています。Certificate III 段階および HE20634 学士の英語条件については、弊社は公表値を確認できていません。学士段階は一般に Diploma より高い水準が求められる傾向にありますが、具体的な数値を推測で書くことはしませんので、ご検討の際は個別にお問い合わせください。
英語条件に届いていない場合の進み方。TAFE NSW への進学を前提とした語学課程から始める方法があります。シドニー中心部の Ultimo キャンパスは、音楽コースの開講キャンパスでもあります。語学課程の内容・期間・費用については TAFE NSW Ultimo キャンパスの語学ページをご覧ください。語学学校全体の選択肢は 語学留学のトップページにまとめています。
語学課程からの進学は、期間と費用が積み上がります。IELTS 6.0(各バンド 5.5)まで、現在の英語力からどれくらいかかるかは個人差が大きいところです。無料カウンセリングで現状をうかがったうえで、現実的な期間の目安をお伝えします。
コースの入学に年齢制限があるという記載は確認していません。ただし卒業後を視野に入れる場合、subclass 485 の年齢上限(申請時35歳以下)が実質的な制約になります。3年課程を組む場合、修了時点の年齢から逆算して渡航時期を決める必要があります。この点は、この分野では特に重要です。
本ページに記載する金額は、すべて TAFE NSW International のコースページに掲載されていた公表値です。推測による金額は一切書きません。掲載のない項目は「未確認」と明記しています。学費は改定されますので、出願時点の最新値は必ずご確認ください。
| コース | 期間 | 学費(公表値) | キャンパス | 入学時期 |
|---|---|---|---|---|
| CUA30920C Certificate III in Music (Creation and Composition) CRICOS 110848C | 0.5年 | A$8,800〜9,550 | 未確認 | 未確認 |
| CUA50820P Diploma of Music (Performance) | 1年 | A$12,710 | Ultimo | 2月・7月 |
| CUA50820S Diploma of Music (Sound Production) | 1年 | A$12,710〜13,220 | Ultimo | 2月・7月 |
| CUA50820MB Diploma of Music (Business) | 1年 | A$12,710〜13,220 | Ultimo | 2月・7月 |
| CUA50820E Diploma of Music (Creation and Composition) | 未確認 | 未確認 | 未確認 | 未確認 |
| HE20634 Bachelor of Creative Practice (Music Production and Performance) CRICOS 113601B | 2年 (Diploma 1年と合わせて3年のパッケージとして案内) | A$50,000〜52,800 | 未確認 | 未確認 |
| Visual Arts 系(CUA41320 / CUA51120 / CUA60720 ほか) | 未確認 | 未確認 | 未確認 | 未確認 |
3年ルートの学費感。Diploma of Music(A$12,710〜13,220)+ HE20634 Bachelor(A$50,000〜52,800)で、学費だけで概ね A$62,700〜66,000 という計算になります(それぞれの公表値の単純合計であり、パッケージ料金として別途の金額が設定されている可能性があります)。ここに生活費、OSHC、教材費、渡航費が加わります。シドニーの生活費は年間で相当額に達しますので、総額は学費の倍近くを見込む必要があります。具体的な総額の試算は、渡航時期・滞在形態をうかがったうえで個別にお出しします。
Visual Arts 系の留学生学費について、第三者サイトに米ドル建ての金額を掲載している例がありますが、TAFE NSW 自身の公表値で裏付けが取れないため、本ページには記載しません。ご希望の方には、TAFE NSW への照会結果をもってお伝えします。
この分野は、弊社がこれまで作成した TAFE NSW の分野別ページの中で、公開情報から確認できなかった項目が最も多い分野でした。埋められなかった部分を隠さずに列挙します。以下の項目についてご検討が必要な方は、弊社から TAFE NSW に個別照会いたします。
上記のうち、ご検討に直接関わる項目については、弊社から TAFE NSW および関係機関に照会いたします。特に Visual Arts(ファインアート)系の留学生向け提供状況は、このページだけでは判断できません。ご希望の分野・時期をお知らせいただければ、確認したうえでご回答します。
学歴・職歴・英語力・ご予算・目標時期をうかがって、このコースが現実的かどうかを率直にお伝えします。合わないと判断した場合は、その理由と代わりの選択肢もお出しします。
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