IT は、TAFE NSW のなかで「Diploma で止めるか、学士まで行くか」の差が最も大きく出る分野です。理由ははっきりしています。豪州の IT 職の技能査定を行う ACS(Australian Computer Society)が、学歴のレベルによって「経験年数の差し引き」を大きく変えるからです。このページでは、その仕組みを最初に説明します。
| 目指す職種 | Software Engineer(261313)、Developer Programmer(261312)、ICT Security Specialist(262112)、Computer Network and Systems Engineer(263111)、ICT Business Analyst(261111)ほか |
| 2つの Diploma | TAFE NSW には ICT50220(VET・0.5年)と HE20626(高等教育・1年)の2種類の Diploma of Information Technology があります。学士へ進むなら HE20626 を選びます。 |
| 学士 | HE20624 Bachelor of IT(Cyber and Network Security)/ HE20625 Bachelor of IT(Data Engineering)。標準3年、HE20626 修了者は2年に短縮されます。 |
| 最重要ポイント | ACS の技能査定では、Diploma 相当の学歴だと関連職務経験から 5〜6年が差し引かれるのに対し、学士(ICT Major)なら 2〜4年の差し引きで済みます。この年数差が、そのまま滞在計画の長さの差になります。 |
| 人手不足について | 当社は「豪州の IT は人手不足だから就職しやすい」とは申し上げません。2025年の政府の職種別評価では、主要な IT 職種は No Shortage と判定されています。この分野は「不足しているから入れる」のではなく「実力で選ばれる」市場です。 |
| 向いている人 | すでに IT の素地がある/論理的な作業が苦にならない/英語で技術文書を読む覚悟がある/学士まで取り切って正面から勝負したい方 |
※ 学費・入学時期・開講キャンパスは年度により改定されます。最新の金額は TAFE NSW の発表と当社からのお見積りでご確認ください。
TAFE NSW の IT 分野は、大きくVET(職業教育)系と高等教育系の2本立てになっています。同じ「Diploma of Information Technology」という名前でも、性格がまったく違います。ここを取り違えると、あとから学士に進もうとしたときに時間を損します。
| コース | 系統 | 期間 | 性格 |
|---|---|---|---|
| ICT30120 Certificate III in Information Technology | VET | 0.5年 | IT の基礎。PC・ネットワーク・ヘルプデスク業務の入口 |
| ICT40120 Certificate IV in Information Technology | VET | 0.5年 | サポート業務を一人で担える水準。専門分野の選択が始まる |
| ICT50220 Diploma of Information Technology | VET | 0.5年 | 15の専門ストリームから選んで深掘りする実務型。短期間で職務スキルを取りに行く設計 |
| HE20626 Diploma of Information Technology | 高等教育 | 1年 | 学士1年目に相当。ここを修了すると HE20624/HE20625 の2年目に編入できます |
| HE20624 Bachelor of IT (Cyber and Network Security) | 高等教育 | 3年(HE Diploma 経由で2年) | ネットワークとサイバーセキュリティの学士 |
| HE20625 Bachelor of IT (Data Engineering) | 高等教育 | 3年(HE Diploma 経由で2年) | データ基盤・データエンジニアリングの学士 |
全 20ユニット=コア6+選択14。選択は15の専門グループから選びます。コア6ユニットは次のとおりです。
| ユニットコード | 内容 |
|---|---|
| BSBCRT512 | Originate and develop concepts(構想の立案と展開) |
| BSBXCS402 | Promote workplace cyber security awareness and best practices(職場のセキュリティ意識の向上) |
| BSBXTW401 | Lead and facilitate a team(チームの運営) |
| ICTICT517 | Match ICT needs with the strategic direction of the organisation(IT と経営戦略の整合) |
| ICTICT532 | Apply IP, ethics and privacy policies in ICT environments(知財・倫理・プライバシー) |
| ICTSAS527 | Manage client problems(顧客課題のマネジメント) |
選択ユニットのグループ(専門ストリーム)は次の15です。ここが実質的な「専攻」になります。
| グループ | 専門分野 | 代表的なユニット |
|---|---|---|
| G | Cyber Security(サイバーセキュリティ) | ICTCYS407 脅威データの収集・分析/ICTCYS610 重要インフラの保護/ICTCYS613 セキュリティ設計手法/ICTSAS524 インシデント対応計画 |
| H | Database and Data Management(データベース・データ管理) | ICTDBS503 データウェアハウスの構築/ICTDBS506 データベース設計/ICTDBS507 Web との統合 |
| I | Front End Web Development(フロントエンド) | ICTICT530 UX 設計/ICTWEB513 動的サイトの構築/ICTWEB514 動的ページの作成 |
| A・B・C | Advanced Networking/Advanced Programming/Back End Web Development | ネットワーク設計、応用プログラミング、サーバサイド開発 |
| D・M | Business Analysis/Systems Analysis | 業務分析、システム分析 |
| E・F | Cloud Architecture/Cloud Engineering | クラウド設計・構築 |
| J・K | Game Art and Design/Game Programming | ゲーム制作 |
| L・N | Systems Administration/Telecommunications Network Engineering | システム運用、通信ネットワーク |
| O | General Electives | 汎用選択 |
※ 出典は training.gov.au の ICT50220 リリースファイル(PDF)です。開講される選択グループはキャンパスと年度によって異なりますので、出願前に当社から照会します。
| ANZSCO | 職種名 | ANZSCO 上の資格の目安 | 現実的に必要な学歴 |
|---|---|---|---|
| 313112 | ICT Customer Support Officer(ヘルプデスク・サポート) | AQF Certificate III/IV 以上 | ICT40120 / ICT50220 |
| 262113 | Systems Administrator(システム管理者) | AQF Bachelor Degree 以上、または5年以上の関連実務 | 学士が基本。Diploma の場合は実務年数で補う |
| 261313 | Software Engineer(ソフトウェアエンジニア) | AQF Bachelor Degree 以上、または5年以上の関連実務 | 学士 |
| 261312 | Developer Programmer(開発プログラマー) | 同上 | 学士 |
| 262112 | ICT Security Specialist(セキュリティ専門職) | 同上 | HE20624 Bachelor of IT (Cyber and Network Security) |
| 263111 | Computer Network and Systems Engineer | 同上 | HE20624 |
| 261111 | ICT Business Analyst | 同上 | 学士 |
IT 分野のビザは、職業リストに載っているかどうかよりも、ACS(Australian Computer Society)の技能査定を通せるかどうかで決まります。ここを理解しないまま計画を立てると、必ずどこかで詰まります。
| 職業(ANZSCO) | CSOL (482/186) | MLTSSL (189/190/491/485) | 技能査定機関 |
|---|---|---|---|
| Software Engineer 261313 | 掲載 | 掲載 | ACS |
| Developer Programmer 261312 | 掲載 | 掲載 | ACS |
| ICT Security Specialist 262112 | 掲載 | 掲載 | ACS |
| Computer Network and Systems Engineer 263111 | 掲載 | 掲載 | ACS |
| ICT Business Analyst 261111 | 掲載 | 掲載 | ACS |
| ICT Customer Support Officer 313112 | 要確認 | 非掲載 | ACS |
※ リストは随時改定されます。申請時点で必ず最新版(CSOL は F2024L01620、MLTSSL 等は F2019L00278)をご確認ください。
ACS の General Skills Assessment では、提出した学歴が申請職業とどの程度関連しているかによって、職務経験のうち何年分が「査定に数えられない期間」として差し引かれるかが決まります。差し引かれた残りの年数が、はじめて「skilled employment」として認められます。
| 学歴 | 差し引かれる年数の目安 | 意味するところ |
|---|---|---|
| 学士(Bachelor)で ICT Major、申請職業と密接に関連 | 2年 | 実務2年で査定を通せる可能性がある。最短の道筋 |
| 学士で ICT Major だが関連が薄い | 4年 | 実務4年が必要 |
| Diploma/Advanced Diploma(AQF レベル)で密接に関連 | 5年 | 実務5年を積んで、はじめて査定に数え始める |
| Diploma で関連が薄い | 6年 | 実務6年が必要 |
日本の IT 分野の数字を見ると、「IT 人材が足りない」という言葉の中身が、職種によってまったく違うことが分かります。
| 職種(厚生労働省 job tag) | 平均年収 | 有効求人倍率 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| システムエンジニア(基盤システム) | 889.0 万円 | 2.28 倍 | 高い年収と、求職者1人に対して2件超の求人。上流・基盤側は明確な売り手市場 |
| プログラマー | 578.5 万円 | 0.94 倍 | 年収は全産業平均より高いが、求人倍率は1倍を下回る。実装だけを担う層は需給が緩い |
※ 出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。数値は掲載時点のものです。
「日本の情報系専門学校に行く」という選択肢と正面から比べるための情報です。
学科の細分化が進んでおり、セキュリティ・AI・クラウドなど分野別に4年制課程を持ちます。国内大手 SIer・メーカーへの就職ネットワークが厚く、「日本国内で IT のキャリアを積む」なら合理的な選択です。
地域の企業と連携した実務型のカリキュラムを持ち、国家試験(基本情報技術者ほか)の対策に力を入れています。首都圏以外で IT を学ぶ選択肢として比較対象になります。
| 比較の軸 | 日本の情報系専門学校 | TAFE NSW(HE20626 → HE20624/HE20625) |
|---|---|---|
| 取得する学位 | 専門士・高度専門士 | 学士(Bachelor of Information Technology) |
| 技能査定での扱い | ACS では学士として扱われない | ICT Major の学士として、経験差し引き2〜4年の区分 |
| 言語 | 日本語(技術文書は英語も併用) | すべて英語。ドキュメント・設計レビュー・障害対応まで |
| 雇用慣行 | 新卒一括採用。SIer の多重下請構造が残る | 職務ごとの採用(job description に対する応募)。ポートフォリオとスキルが直接評価される |
| 期間 | 2〜4年 | Diploma 1年 + 学士2年=計3年(語学は別途) |
| 長期滞在との関係 | — | 485 Post-Higher Education Work stream + MLTSSL 掲載職業として検討余地がある |
| 学歴(VET コース) | 日本の高校卒業相当が基準です。 |
| 学歴(HE20626・学士) | 高等教育コースのため、高校の成績が審査対象になります。HE20626 修了者は HE20624/HE20625 の2年目へ編入できます。 |
| 英語(VET の目安) | IELTS 5.5 前後(各バンドの下限指定あり)。 |
| 英語(高等教育の目安) | VET より高い水準(IELTS 6.0 以上が一般的)。コース・年度により異なります。 |
| 数学 | Data Engineering は数学的な素養があると有利です。高校数学の基礎は復習しておくことをお勧めします。 |
※ 最新の条件は TAFE NSW International の入学条件ページでご確認ください。
以下は TAFE NSW International が公表している金額です。年度により改定されますので、お申し込み時点の正式な金額は必ず当社からのお見積りでご確認ください。
| コース | 期間 | CRICOS | キャンパス/入学時期 | 公表されている学費(総額) |
|---|---|---|---|---|
| ICT30120 Certificate III in Information Technology | 0.5年 | 108789E | St Leonards/2月・7月 | AUD 10,225 〜 |
| ICT40120 Certificate IV in Information Technology | 0.5年 | 108790A | St Leonards/2月・7月 | AUD 13,350 〜 |
| ICT50220 Diploma of Information Technology(VET) | 0.5年 | 108791M | St Leonards/7月 | AUD 16,200 〜 |
| HE20626 Diploma of Information Technology(高等教育) | 1年 | 095516G | Meadowbank/2月・7月 | AUD 26,720 〜 |
| HE20624 Bachelor of IT (Cyber and Network Security) | 3年(HE Diploma 経由で2年) | 075370J | Meadowbank/2月・7月 | AUD 69,120(3年)/ 46,080(2年) |
| HE20625 Bachelor of IT (Data Engineering) | 3年(HE Diploma 経由で2年) | 095515J | Meadowbank/2月・7月 | AUD 69,120(3年)/ 46,080(2年) |
※ 学士の学費は TAFE NSW の公表資料のあいだで年度表記が揃っていない箇所があります。正確な金額は出願時点で TAFE NSW に確認のうえ、当社からお見積りとしてお出しします。
※ 上記のほか、教材費・OSHC(留学生健康保険)・生活費・渡航費が別途必要です。
※ ビザの可否は、そのときの法令・職業リスト・州の指名条件・点数・ご本人の状況で変わります。上記は制度の全体像を示すモデルであり、個別の見通しは当社の登録移民代理人がお伺いしたうえでお伝えします。
学歴・職歴・英語力・ご予算・目標時期をうかがって、このコースが現実的かどうかを率直にお伝えします。合わないと判断した場合は、その理由と代わりの選択肢もお出しします。
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