この分野は、日本の方が持っているイメージと豪州の制度が最もずれやすい分野です。「TAFE で機械の Certificate III を取って整備士になる」「TAFE で電気工事士になる」という道は、留学生には基本的に開いていません。その理由と、では何ができるのかを、最初から順に説明します。
※ 土木・測量・製図(Civil Construction Design)は別ページで扱っています。
このページは、都合の良い話から始めません。エンジニアリング分野は問い合わせの多い分野ですが、同時に「聞いていた話と違った」が最も起きやすい分野でもあるためです。まず4点、先にお伝えします。
| 留学生が申し込めるコース | MEM60122 Advanced Diploma of Engineering (Mechanical)(2年・CRICOS 112018C)/UEE50520 Diploma of Electronics and Communications Engineering(2年・CRICOS 103400E)/HE20552 Diploma of Renewable Energy Engineering(1年・CRICOS 107756M) |
| 開講キャンパス | いずれも Ultimo(シドニー中心部)。入学は2月・7月と案内されています |
| 留学生が申し込めないもの | MEM30219 Certificate III in Engineering – Mechanical Trade/MEM30522 Certificate III in Engineering – Technical/MEM40119 Certificate IV in Engineering/MEM50222 Diploma of Engineering – Technical/UEE30820 Certificate III in Electrotechnology Electrician/HE20631 Associate Degree of Manufacturing and Applied Digital Technologies。いずれも国内学生向けのみです |
| Bachelor(学士) | TAFE NSW には工学系の学士がありません。留学生向け学位一覧に載っているのは Business・Property Valuation・Early Childhood・Fashion・Interior Design・3D Art・Music・IT の各学士で、工学系は HE20552 Diploma(1年)が最上位です。工学の学位が必要な場合は大学への編入が前提になります |
| 主な ANZSCO | 312512 Mechanical Engineering Technician/312511 Mechanical Engineering Draftsperson/312312 Electrical Engineering Technician/312412 Electronic Engineering Technician/312911 Maintenance Planner |
| ビザ上の要点 | 上記はすべて CSOL(482 Core Skills / 186 Direct Entry)に掲載。ただし MLTSSL に載っているのは 312312 のみ(弊社が二次情報源で確認した範囲)。312512 は STSOL、312511 は ROL、312412 は弊社では最終確認ができていません |
| 技能査定 | 技術者(Technician)系は TRA(Trades Recognition Australia)、製図(Draftsperson)系と技術者(Engineer)系は Engineers Australia。EA は 2024年9月1日以降、Advanced Diploma/Associate Degree の査定をDublin Accord 認定課程に限定し、それ以外は CDR ルートに切り替えています |
| 公表学費(2026年) | MEM60122:AUD 28,625〜32,920/UEE50520:AUD 36,075〜41,490/HE20552:AUD 20,000〜21,040(いずれも別途 AUD 300〜1,000 の教材・工具・作業着代) |
| 向いている人 | 日本で機械・電気・電子の実務経験がある/CAD や設計の仕事を英語環境でやりたい/将来は大学工学部への編入も視野に入れている/雇用主スポンサー型のビザを含めて長期戦で考えられる方 |
| 向いていない人 | 「手に職=トレード資格で永住」を最短で狙いたい方。この分野では、その道は留学生に開いていません |
※ 学費・入学時期・開講キャンパスは年度により改定されます。最新の金額は TAFE NSW の発表と弊社からのお見積りでご確認ください。
ここでは、留学生が実際に申し込める3コースについて、公表されている構成とユニットコードを見ていきます。ユニット構成は training.gov.au が公開している訓練パッケージ PDF から確認したものです。実際にどの選択ユニットが開講されるかは校舎・年度によって変わるため、必ず最新の Course Guide でご確認ください。
機械系エンジニアリングの中で、手を動かす製造技能ではなく、設計・計算・図面・工程管理の側を扱う課程です。TAFE NSW のコースページでは、学習内容として project management, engineering design, computer aided drafting (CAD) and mechanical calculations(プロジェクト管理、エンジニアリング設計、CAD、機械計算)が挙げられています。修了後の進路例としては Design Engineer、Maintenance Planner、Technical Supervisor/Manager、Sales Engineer が示されています。
訓練パッケージ上の構成は、合計30ユニット(コア7+選択23)です。選択は Group A(一般選択・最大8ユニット)と Group B(専門選択・15ユニット以上)に分かれ、Group B をどう組むかで「設計寄り」「保全寄り」「製造工程寄り」が決まります。
| コアユニット(7) | 内容 |
|---|---|
| MEM16006 | Organise and communicate information(情報の整理と伝達) |
| MEM16008 | Interact with computing technology(コンピューター技術の活用) |
| MEM22001 | Perform engineering activities(エンジニアリング業務の遂行) |
| MEM22002 | Manage self in the engineering environment(エンジニアリング現場での自己管理) |
| MEM30007 | Select common engineering materials(一般的なエンジニアリング材料の選定) |
| MEM30012 | Apply mathematical techniques in a manufacturing engineering or related environment(製造エンジニアリング環境での数学的手法) |
| MSMENV272 | Participate in environmentally sustainable work practices(環境配慮型の作業実践) |
電子・通信系の Diploma です。TAFE NSW のページでは、修了後の進路例として Technical Officer(electronic and communications engineering)、Telecommunications Technical Officer が挙げられています。電気工事(Electrician)の資格課程ではありませんので、この点は後述の免許のセクションで改めて説明します。
構成は MEM 系と異なり、ユニット数ではなく「配点(weighting points)」で管理されます。公表されている総計は 1,600点で、うちコア140点、残る1,460点を Group A〜D の一般選択から満たす形です。
| コアユニット(7) | 内容 |
|---|---|
| UEECD0007 | Apply work health and safety regulations, codes and practices(労働安全衛生法規の適用) |
| UEECD0016 | Document and apply measures to control WHS risks associated with electrotechnology work(電気技術業務の安全リスク管理) |
| UEECD0024 | Implement and monitor energy sector WHS policies and procedures(エネルギー分野の安全方針の運用) |
| UEECD0027 | Participate in development and follow a personal competency development plan(能力開発計画の策定と実行) |
| UEEEC0007 | Commission electronics and communications systems(電子・通信システムの立ち上げ) |
| UEEEC0044 | Modify – redesign electronics and communications systems(電子・通信システムの改修と再設計) |
| UEERE0015 | Implement and monitor energy sector environmental and sustainable policies and procedures(エネルギー分野の環境方針の運用) |
※ コアの半分以上が安全・法規・環境・自己管理のユニットである点は、日本の専門学校のカリキュラムと比べると特徴的です。豪州の電気・エネルギー分野は、技術より先に安全法規の順守を教える設計になっています。
3コースの中で唯一、職業教育(VET)ではなく高等教育(Higher Education)の枠組みで提供されている1年課程です。TAFE NSW の説明では、8つのコアユニットで構成され、回路解析、蓄電、太陽光発電(solar PV)システム設計、AutoCAD、Python によるデータ処理などを扱うとされています。
この課程で特筆すべきは、修了者が Clean Energy Council(CEC)の Grid-Connect Design Only の暫定(provisional)認定に申請できると公表されている点です。豪州の太陽光発電の設計・施工は CEC 認定者の関与が実務上の前提になっている領域があるため、業界内で意味を持つ資格につながる数少ないルートといえます。ただし認定の可否は CEC の判断であり、修了により自動的に付与されるものではありません。最新の要件は Clean Energy Council でご確認ください。
オーストラリアの職業は ANZSCO(Australian and New Zealand Standard Classification of Occupations)という6桁コードで分類され、ビザの職業リストも技能査定機関も、すべてこのコードを基準に動きます。日本の「機械系エンジニア」という括りは、豪州では学位を前提とする Engineer(233系)とDiploma/Advanced Diploma を前提とする Technician・Draftsperson(312系)とアプレンティスシップを前提とする Trade(322・323・341系)に、明確に三分割されています。
| ANZSCO | 職業名 | Skill Level | おおまかな仕事内容 |
|---|---|---|---|
| 312512 | Mechanical Engineering Technician (機械エンジニアリング技術者) | 2 | 機械技術者の下で、試験・測定・データ収集・工程改善・保全計画の技術支援を行う。MEM60122 が最も素直に対応する職種です |
| 312511 | Mechanical Engineering Draftsperson (機械製図技術者) | 2 | 機械部品・装置の詳細図面を CAD で作成する。日本の「機械設計・製図」に近い職種 |
| 312911 | Maintenance Planner (保全計画担当) | 2 | 設備保全の計画立案・スケジューリング・部品手配。TAFE NSW のコースページでも進路例に挙げられています |
| 233512 | Mechanical Engineer (機械技術者) | 1 | Advanced Diploma では原則到達できません。大学工学部の学位が前提。編入を経て初めて視野に入る職種です |
| 233914 | Engineering Technologist (エンジニアリング技術専門職) | 1 | 同上。Engineers Australia の Engineering Technologist カテゴリに相当し、学位が前提です |
| ANZSCO | 職業名 | Skill Level | おおまかな仕事内容 |
|---|---|---|---|
| 312412 | Electronic Engineering Technician (電子エンジニアリング技術者) | 2 | 電子機器・制御装置の試験、故障診断、改修、立ち上げ。UEE50520 のコアユニット(UEEEC0007/UEEEC0044)が直接対応します |
| 312312 | Electrical Engineering Technician (電気エンジニアリング技術者) | 2 | 電気設備・システムの技術支援、試験、記録。電気工事の施工資格とは別物です |
| 312311 | Electrical Engineering Draftsperson (電気製図技術者) | 2 | 電気系統図・配線図の作成。査定機関は Engineers Australia とされています |
| 313212 | Telecommunications Field Engineer 等 (通信系技術職) | 2 | TAFE NSW が挙げる Telecommunications Technical Officer に近い領域。該当する正確な ANZSCO コードは案件ごとに異なるため、個別確認が必要です |
※ 313212 については、コース側の進路例と ANZSCO コードの対応を弊社では確定できていません。「確認できなかったこと」に記載しています。
問い合わせで名前が挙がることが多い職種です。魅力的な職種ほど、留学生には入口がありませんという事実を、コードとともに示しておきます。
| ANZSCO | 職業名 | 前提資格 | 留学生の可否 |
|---|---|---|---|
| 323211 | Fitter (General)(機械組立・整備工) | Certificate III(MEM30219 等)+ アプレンティスシップ | 留学生向けページなし |
| 323212 | Fitter and Turner(旋盤工) | 同上 | 同上 |
| 322311 | Metal Fabricator(金属加工工) | Certificate III + アプレンティスシップ | 同上 |
| 322313 | Welder (First Class)(溶接工) | 同上 | 同上 |
| 341111 | Electrician (General)(電気工事士) | UEE30820 + 4年間のアプレンティスシップ + NSW の免許 | 同上。免許要件は後述 |
| 341112 | Electrician (Special Class) | 同上+上位資格 | 同上 |
ここが、この分野で最も誤解の多いところです。「リストに載っている」だけでは意味がなく、どのリストに載っているかで、使えるビザがまったく変わります。まず、リストとビザの対応関係を整理します。
| リスト | 正式名・根拠 | 使えるビザ | ANZSCO 版 |
|---|---|---|---|
| CSOL | Core Skills Occupation List(LIN 24/089 / F2024L01620) | subclass 482 Skills in Demand(Core Skills stream) | ANZSCO 2022 |
| 186 DE | LIN 24/093(F2024L01618)。2024年12月7日以降、186 Direct Entry stream は CSOL を参照する運用になったと案内されています | subclass 186 Direct Entry(雇用主指名・永住) | ANZSCO 2022 |
| MLTSSL | Medium and Long-term Strategic Skills List(LIN 19/051 / F2019L00278 の Schedule 1) | subclass 189・190・491、および subclass 485 Post-Vocational Education Work stream | ANZSCO 2013 |
| STSOL | Short-term Skilled Occupation List(同 Schedule 2) | subclass 190(州指名がある場合)等。189 では使えません | ANZSCO 2013 |
| ROL | Regional Occupation List(同 Schedule 3) | subclass 491(地方州指名)等 | ANZSCO 2013 |
弊社が確認した範囲を、そのまま表にします。「載っていない」ものは「載っていない」と書きます。出典は表の下に記載します。
| ANZSCO・職業 | CSOL (482) | 186 DE | MLTSSL (189/190/491/485) | STSOL | ROL | 査定機関 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 312512 Mechanical Engineering Technician | 掲載 | 掲載 | 掲載なし | 掲載 | — | TRA |
| 312511 Mechanical Engineering Draftsperson | 掲載 | 掲載 | 掲載なし | — | 掲載 | Engineers Australia |
| 312312 Electrical Engineering Technician | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | TRA |
| 312311 Electrical Engineering Draftsperson | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | Engineers Australia |
| 312412 Electronic Engineering Technician | 掲載 | 掲載 | 掲載なし | 未確認 | 未確認 | TRA |
| 312911 Maintenance Planner | 掲載 | 掲載 | 掲載なし | — | 掲載 | VETASSESS |
| 233512 Mechanical Engineer | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | Engineers Australia |
| 233511 Industrial Engineer | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | Engineers Australia |
| 233513 Production or Plant Engineer | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | Engineers Australia |
| 233914 Engineering Technologist | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | Engineers Australia |
| 323211 Fitter (General) | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | TRA |
| 323212 Fitter and Turner | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | TRA |
| 322311 Metal Fabricator | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | TRA |
| 341111 Electrician (General) | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | TRA |
| 341112 Electrician (Special Class) | 掲載 | 掲載 | 掲載 | — | — | TRA |
CSOL の掲載有無は、オーストラリア内務省が公開している Core Skills Occupation List(PDF) を弊社が直接参照して確認しました。186 Direct Entry の参照リストと査定機関の対応は Home Affairs の 186 Direct Entry ページによります。MLTSSL/STSOL/ROL については、根拠法令 F2019L00278(LIN 19/051) の本文を弊社の環境から取得できず、第三者データベース(anzscosearch.com 等)を参照した二次情報です。実際の出願前には必ず一次情報で再確認してください。
Diploma・Advanced Diploma の修了者が使うのは Post-Vocational Education Work stream です。Home Affairs の subclass 485 ページで公表されている主な要件は次のとおりです。
| 年齢 | 申請時 35歳以下(香港・英国海外市民パスポート保持者は50歳以下) |
| 学歴 | CRICOS 登録課程の Diploma/Advanced Diploma/Associate Degree/トレード資格を英語で修了していること |
| 就学期間 | オーストラリア国内で最低2学年分(16暦月以上の実地就学) |
| 職業 | 指名する職業が MLTSSL に掲載され、かつ修了資格と密接に関連していること |
| 技能査定 | 指名職業について、原則として技能査定(TRA・VETASSESS・Engineers Australia 等)が必要とされています |
| 英語 | IELTS 全体 6.5、各バンド 5.5 以上(または同等)と案内されています |
| 滞在期間 | このストリームは通常最長18か月と案内されています |
| その他 | 豪州連邦警察の証明、健康保険の加入、修了後6か月以内の申請 |
※ 年齢制限は「35歳以下」です。日本で実務を積んでから留学される方の場合、コース修了時点で何歳になっているかを先に逆算しておく必要があります。2年課程であれば、渡航時点で33歳を超えていると、このビザは実質的に射程外になります。
「オーストラリアで電気工事士になりたい」というご相談は非常に多いのですが、この職業は州の免許制であり、資格課程を修了しただけでは実際の工事に従事できません。ニューサウスウェールズ州で電気工事に従事するために必要なものを、順に示します。
| 種類 | できること |
|---|---|
| Electrical Contractor Licence (電気工事業者免許) | 電気工事を請け負い、契約主体になれる。事業者向け |
| Qualified Supervisor Certificate – Electrical (有資格監督者証) | 自身で電気工事を行い、他者の作業を監督できる。実務上の中核 |
| Electrician Tradesperson Certificate (電気技能者証) | 監督下で電気工事を行える |
出典:Service NSW「Apply for a qualified supervisor certificate」/ABLIS「Qualified Supervisor Certificate – Electrical Work (NSW)」/NSW Fair Trading
この点を、弊社は最初にお伝えするようにしています。「Cert III を取れば電気工事士」という説明で渡航された方が、現地で入学できないと分かるケースが実際に起きているためです。もし電気分野で豪州を目指されるなら、UEE50520(電子・通信)や HE20552(再生可能エネルギー)を経由して、施工ではなく技術者・設計側の職種を狙うほうが、はるかに現実的です。
TAFE NSW の UEE30820 のページには、この資格が meets part of the requirements for the issue of a Qualified Supervisors Certificate Electrician(有資格監督者証の要件の一部を満たす)と記載されています。「一部」という表現がすべてを物語っています。資格は必要条件であって、十分条件ではありません。
ビザ申請では、ほとんどの場合「その職業をやれる技能があるか」を第三者機関が査定した書面が必要になります。この分野では査定機関が2つに分かれ、求められるものがまったく違います。ここを取り違えると、2年学んだ後で「査定に出せない」ということが起こります。
連邦政府の機関で、職業教育(VET)系の資格と実務経験を査定します。312512・312312・312412・323211・322311・341111 などの査定機関です。
主なプログラム
JRP は4段階で、Step 2 Job Ready Employment(就労)、Step 3 Job Ready Workplace Assessment(最低6か月・863時間以上の有給就労後)、Step 4 Final Assessment(12暦月・1,725時間以上の有給就労後)と進みます。つまり「卒業してすぐ査定完了」ではなく、1年以上の実務就労が組み込まれた制度です。
技術者団体で、学位相当の工学教育を査定します。233512・233511・233914・312511・312311 などの査定機関です。
ここが最も重要な変更点です。
CDR とは:3つの職務経験のうち2つ以上について「Career Episode(職務経験記述書)」を英語で執筆し、Summary Statement で技能要件との対応を示す方式です。実務経験がなければ書けません。新卒の Advanced Diploma 修了者にとって、これは非常に高いハードルです。
※ EA は Washington Accord(学士)/Sydney Accord(Engineering Technologist)/Dublin Accord(Engineering Associate)という3層の国際協定で認定を管理しています。TAFE NSW の MEM60122 が Dublin Accord 認定課程であるかどうかは、弊社では確認できませんでした。EA での査定を前提に進路を決める場合、この確認は必須です。
豪州の年収は、求人サイト SEEK が職種別に公表しているレンジを参照しています。SEEK の数値は同社の求人掲載データに基づく参考値であり、政府統計ではありません。また、豪州の給与は業種と地域で大きく変わり、とくに鉱業・資源・エネルギー分野が突出して高いという構造があります。
| 職種 | SEEK 掲載の年収レンジ | 業種別の平均(同サイト掲載) |
|---|---|---|
| Mechanical Engineer(機械技術者) | AUD 90,000〜110,000 | Mining/Resources/Energy 分野の平均 AUD 138,479 |
| Electrical Engineer(電気技術者) | AUD 105,000〜125,000 | Mining 分野の平均 AUD 151,812 |
| Electrician(電気工事士) | AUD 95,000〜115,000 | Mining 分野の平均 AUD 131,376 |
| Engineering Technician(エンジニアリング技術者) | ページ上でレンジ表示を取得できず | 業種別平均として AUD 84,381/AUD 77,920 の表示を確認 |
| Welder(溶接工) | ページ上でレンジ表示を取得できず | 業種別平均として AUD 109,746/AUD 71,063/AUD 66,396 の表示を確認 |
出典:SEEK「Mechanical Engineer salary」/SEEK「Electrical Engineer salary」/SEEK「Electrician salary」/SEEK「Engineering Technician salary」/SEEK「Welder salary」(いずれも2026年5月時点の表示。弊社閲覧時に一部ページはアクセス制限で取得できませんでした)
豪州政府は毎年、職業ごとの人手不足の判定を公表しています。弊社が第三者データベースで確認した2025年版の判定は次のとおりです(S=全国的に不足、M=都市部で不足、NS=不足なし)。
| ANZSCO・職業 | 2025年の判定 |
|---|---|
| 312511 Mechanical Engineering Draftsperson | S(不足) |
| 312512 Mechanical Engineering Technician | S(不足) |
| 312412 Electronic Engineering Technician | S(不足) |
| 312312 Electrical Engineering Technician | M(都市部で不足) |
| 323211 Fitter (General) | S(不足) |
| 323212 Fitter and Turner | S(不足) |
| 322311 Metal Fabricator | S(不足) |
| 341111 Electrician (General) | S(不足) |
| 233512 Mechanical Engineer | NS(不足なし) |
| 312311 Electrical Engineering Draftsperson | NS(不足なし) |
出典:anzscosearch.com(第三者データベース)。一次情報である Jobs and Skills Australia の Occupation Shortage List は、弊社の環境からアクセスできませんでした。最新の一次情報は Jobs and Skills Australia および Your Career でご確認ください。
比較のため、日本側の数値も示します。出典は厚生労働省が運営する職業情報提供サイト job tag(旧・日本版 O-NET)です。同サイトは職業別の平均年収・労働時間・有効求人倍率・就業者数を公開しています。
| 職業 | 平均年収 | 月間労働時間 | 有効求人倍率 | 就業者数 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|---|---|
| 機械設計技術者 | 659.0万円 | 162時間 | 3.21倍(令和6年度) | 242,820人 | 42.3歳 |
| 電気技術者 | 703.9万円 | 159時間 | 2.68倍(令和6年度) | 305,190人 | 42.1歳 |
| 電気工事士 | 628.1万円 | 163時間 | 3.8倍 | 379,510人 | 41.6歳 |
| 精密機器技術者 | 659.0万円 | 162時間 | 3.21倍 | 242,820人 | 42.3歳 |
出典:厚生労働省 job tag / 機械設計技術者/電気技術者/電気工事士/精密機器技術者(数値は各ページの掲載時点のもの)
※ 機械設計技術者と精密機器技術者は、job tag 上で同一の統計値が表示されています。統計上の分類が同じ区分にまとめられているためと考えられますが、弊社では理由を確認できていません。
「日本の工業系専門学校に行くのと、何が違うのか」を判断していただくために、日本国内で機械・電気・電子系の学科を持つ専門学校を2校挙げます。弊社はこれらの学校と提携関係にはなく、進学の斡旋も行っていません。あくまで比較のための情報です。
テクノロジー・デザイン・医療・スポーツなど幅広い分野を持つ総合専門学校です。工学系では以下の2年制学科が公開されています。
電気・電子・情報・医療系に特化した専門学校です。工学系では以下の2年制学科が公開されています。
同校の電気工学科のページでは、卒業により第二種電気工事士の筆記試験が免除され、卒業後の実務経験2年で第三種電気主任技術者、5年で第二種電気主任技術者の認定を受けられると案内されています。
ここまで厳しい話を続けてきましたので、では何が得られるのかを整理します。
図面の注記、仕様書、試験報告、打ち合わせ——すべて英語です。日本で英語を勉強してから技術を学ぶのではなく、技術を英語で学ぶことになります。この経験は、日本の外資系メーカーや海外案件を持つ企業で明確に評価されます。
MEM60122 の CAD・機械計算、UEE50520 の電子・通信システムの立ち上げは、いずれも豪州規格を前提に教えられます。JIS しか知らない技術者と、AS/NZS も分かる技術者では、扱える案件が変わります。
UEE50520 のコアの多くが WHS(労働安全衛生)関連であることに表れているとおり、豪州は技術の前に安全という順序で教えます。この考え方は、日本の製造現場でも通用する資産になります。
Advanced Diploma を修了してから豪州の大学工学部へ進むルートは、実際に使われています。Engineers Australia の査定を狙うなら、いずれ学位は必要です。2年 + 大学2〜3年という長期設計であれば、233系の職種も射程に入ります。
日本は「学校を出て国家試験を受ける」、豪州は「ユニットごとに能力を証明して積み上げる」設計です。転職時に「何ができるか」を証明しやすい反面、資格名だけでは通用しません。
アプレンティスシップの存在が象徴的です。日本は「学校 → 就職」ですが、豪州のトレード分野は「就職 → 学校」です。この順序の違いを理解しないまま計画を立てると、必ずどこかで詰まります。
TAFE NSW の留学生向け入学条件は、コースごと・年度ごとに改定されます。以下は弊社が確認した時点の一般的な水準であり、出願時の正式な条件は必ず最新の Course Guide でご確認ください。
| 項目 | 一般的な水準 |
|---|---|
| 学歴 | Diploma/Advanced Diploma 系は、日本の高校卒業(12年間の教育修了)相当が基本線です。MEM60122 のような Advanced Diploma では、数学・物理の履修歴や関連分野の学習歴・実務経験が求められる場合があります |
| 数学 | MEM 系は MEM30012(数学的手法)がコアに入っているため、一定水準の数学が前提になります。国内学生向けの MEM50222 のページでは「Year 12 の Advanced Mathematics または Certificate III in Engineering」が条件として挙げられていました |
| 英語(一般的な目安) | Diploma/Advanced Diploma レベルでは IELTS Academic 全体 5.5〜6.0(各バンドに下限あり)が一般的な水準として案内されることが多いです。HE20552 は高等教育課程のため、より高い水準が求められる可能性があります |
| 年齢 | 18歳以上 |
| その他 | 実習を含むユニットでは、作業着・安全靴・保護具の自己負担が発生します(後述の追加費用) |
弊社が確認できた公表値をそのまま並べます。推測での金額は書きません。また、2026 International Student Guide の掲載額と、TAFE NSW のコースページに表示される額が一致しないコースがあります。どちらが正しいかを弊社が断定することはできませんので、両方を併記します。
| コース | CRICOS | 期間 | Guide 2026 掲載額 | コースページ表示のレンジ | 入学 |
|---|---|---|---|---|---|
| MEM60122 Advanced Diploma of Engineering (Mechanical) | 112018C | 2年 | AUD 28,625 | AUD 28,625〜32,920 | 2月・7月 |
| UEE50520 Diploma of Electronics and Communications Engineering | 103400E | 2年 | AUD 36,075 | AUD 36,075〜41,490 | 2月・7月 |
| HE20552 Diploma of Renewable Energy Engineering | 107756M | 1年 | AUD 20,000 | AUD 20,000〜21,040 | 2月・7月 |
出典:TAFE NSW International Student Guide 2026(PDF)および各コースの TAFE NSW 掲載ページ。開講キャンパスはいずれも Ultimo と案内されています。
※ 学費は年度改定されます。また為替の影響も大きい分野です。上記は「2026年時点で公表されている額」であり、実際のご請求額を保証するものではありません。
Q1. 日本で機械設計の実務が5年あります。MEM60122 は簡単すぎませんか。
技術的な内容だけを見れば、実務経験のある方にとって既知の部分は多いと思われます。ただしこのコースの価値は、技術そのものより「豪州の資格枠組みの中に自分を位置づけること」にあります。豪州の雇用主は AQF(豪州資格枠組み)のレベルで人を見ますし、技能査定機関も同様です。日本での実務経験だけでは、この枠組みの中で証明が立ちません。
なお、既習内容については RPL(Recognition of Prior Learning:既習得能力の認定)の申請が可能な場合があります。認められれば履修ユニットを減らせますが、就学期間が短くなると subclass 485 の「2学年分」要件に影響する点にご注意ください。RPL の可否と、その影響については個別にご相談ください。
Q2. MEM40119 Certificate IV in Engineering は本当に受けられないのですか。
弊社が確認した範囲では、MEM40119 は TAFE NSW の国内学生向けページにのみ存在し、Fluid Power、Welding、CNC Programming といった専門バリエーション(-03、-04、-06 等)が開講されています。留学生向けの案内は見つかりませんでした。
ただし、コース開講状況は年度ごとに変わります。弊社が確認した時点の情報であり、将来的に留学生向けに開講される可能性を否定するものではありません。最新の開講状況は、お問い合わせいただければ確認いたします。
Q3. TAFE NSW に工学系の学士(Bachelor)はありますか。
弊社が確認した範囲では、ありません。TAFE NSW の留学生向け学位一覧に掲載されているのは、Business(HE20614)、Property Valuation(HE20507)、Early Childhood Education(HE20610)、Fashion Design(HE20506)、Interior Design(HE20501)、3D Art and Animation(HE20620)、Creative Practice – Music(HE20634)、Information Technology(HE20624/HE20625)などで、機械・電気・電子系の学士は含まれていません。
工学系で TAFE NSW が提供する最上位の高等教育課程は、HE20552 Diploma of Renewable Energy Engineering(1年)です。工学の学位が必要な場合は、大学への進学・編入が前提になります。
Q4. MEM60122 を修了すれば、subclass 485 は取れますか。
Post-Vocational Education Work stream で指名する職業は MLTSSL に掲載されている必要があります。MEM60122 が主に対応する 312512(Mechanical Engineering Technician)と 312511(Mechanical Engineering Draftsperson)は、弊社が確認した範囲では MLTSSL に掲載されていません。したがって、これらの職種を指名しての 485 申請は難しいと考えられます。
UEE50520 が対応する 312312 は MLTSSL に掲載されているとの情報がありますが、この点は二次情報源に依拠しており、情報源によって記載に食い違いがありました。485 を計画の柱にされる場合は、必ず登録移住代理人(MARA 登録)に個別にご確認ください。弊社は移住代理業務を行っておらず、ビザの可否を判断する立場にありません。
Q5. 卒業後にオーストラリアで就職できる可能性はどのくらいありますか。
弊社は就職率の数値を持っておらず、また保証もできません。ただし判断材料として、次の点はお伝えできます。
・Technician 系の職種は人手不足と判定されています(312511・312512・312412 が「不足」)。求人自体は存在します。
・一方で、雇用主が留学生をスポンサーするには手続きとコストの負担があります。同じ能力なら永住権保持者が採用されやすい、という構造は現実にあります。
・在学中のインターンシップや現場経験、英語力、そして人的なつながりが結果を大きく左右します。「卒業したら求人が来る」という分野ではありません。
率直に申し上げて、この分野で豪州就職を実現される方は、在学中から積極的に動いた方です。
Q6. 電気工事の仕事がしたいのですが、どうしても方法はありませんか。
学生ビザからの直接ルートは、弊社が確認した限りありません。NSW の電気工事免許は UEE30820 の修了 + 4年間のアプレンティスシップが前提で、UEE30820 への入学自体がアプレンティス雇用契約を前提としているためです。
考えられるのは、(a) 先に別のルートで永住権または就労制限のない在留資格を得たうえで、アプレンティスシップに入る、(b) 日本で第二種/第一種電気工事士の資格と実務経験を積んだうえで、TRA の Offshore Skills Assessment Program(OSAP)による技能査定を目指し、雇用主指名型のビザ(482/186)を狙う、という2つの方向です。
ただし (b) についても、TRA の査定要件と、査定合格後に雇用主を見つける難しさがあります。数年単位の計画になることは、あらかじめご承知おきください。この道を本気で検討される場合は、施工(341111)ではなく電気技術者(312312)や電子技術者(312412)に照準を移すことも、選択肢として一緒に検討します。
このページの作成にあたって、弊社が確認しきれなかった項目を正直に列挙します。これらは「分からない」という状態のまま記載しており、断定した表現は避けています。ご相談の際は、これらの点を一緒に確認するところから始めます。
※ 上記のうち、ご相談内容に直接関わる項目については、個別にお調べしてご回答します。「確認できていない」ことを黙って断定的に書くよりも、そのままお伝えして一緒に確認するほうが、結果的にご本人の利益になると考えています。
学歴・職歴・英語力・ご予算・目標時期をうかがって、このコースが現実的かどうかを率直にお伝えします。合わないと判断した場合は、その理由と代わりの選択肢もお出しします。
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