TAFE NSW の不動産分野には、行き先の異なる2本の道があります。ひとつは不動産エージェント(免許)の道で、入口が Certificate IV。もうひとつが不動産鑑定(Valuer/鑑定評価)の道で、こちらは 3年制の学士課程です。永住・就労ビザにつながるのは後者で、前者は制度上そこに届きません。この違いを最初に整理してからお読みください。
ではこの分野に留学の価値がないかというと、そうではありません。価値があるのは Bachelor of Property Valuation(HE20507)のほうです。TAFE NSW 自身が「オーストラリア唯一の鑑定評価専門の学位」と説明している 3年制の学士で、留学生向けに CRICOS 登録(089229K)されており、Australian Property Institute(API)の課程審査を通っています。学士ですので subclass 485 の Post-Higher Education Work ストリームに素直に乗り、指名職種は 224512 Valuer(CSOL・MLTSSL の双方に掲載)です。このページの主役はこちらです。
Certificate IV に意味がないという趣旨ではありません。①学士課程への入口(パッケージ入学)として、②帰国後・就労権取得後に使える資格として、③日本の宅建士学習との相互補完として、それぞれ価値があります。「6か月学べばシドニーで不動産営業ができる」というご案内をしない、という意味です。
| ひとことで | 不動産を「売る人」ではなく、不動産の「値段を決める人」を育てる学士課程。銀行・裁判所・税務・行政が使う評価額を出す専門職です。 |
| 目指す職種 | Valuer(不動産鑑定士)/ Property Valuer / Land Economist / Property Analyst / Asset Manager /(Cert IV 側)Real Estate Representative / Property Manager |
| 中心になる資格 | HE20507 Bachelor of Property Valuation(3年) 入口として CPP41419 Certificate IV in Real Estate Practice(0.5年) |
| CRICOS | 089229K(学士)/ 107417H(Cert IV) ※提供者番号 00591E |
| キャンパス | Ultimo(シドニー中心部) |
| 入学時期 | 2月・7月 |
| 学費(留学生) | 学士 AUD 52,080〜(コースページ表記は 52,080〜57,840)/ Cert IV AUD 10,425〜(同 10,425〜11,840)/ パッケージ(Cert IV+学士・計3.5年)AUD 62,505〜69,680 |
| ビザ・職業リスト | 224512 Valuer:CSOL(項目77)・MLTSSL(第8条 項目22)の両方に掲載。技能査定は VETASSESS。 612115/612112(エージェント側):ROL のみ。485・189・190・491・482・186 のいずれにも使えません。 |
| 豪州の週収(4桁単位群の平均) | Valuers/Land Economists 週 AUD 2,021/ Real Estate Reps/Property Managers 週 AUD 1,320(Your Career/週額・単位群平均) |
| 日本の平均年収 | 不動産鑑定士 583.3万円/ 住宅・不動産営業 660.7万円(job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース) |
| 向いている方 | 数字と法令を扱うのが苦にならない方/金融・会計のバックグラウンドがある方/日本で不動産鑑定士や宅建士を目指している方/外資系不動産(CBRE・JLL 等)や不動産ファンドを志望する方 |
学費・入学時期は TAFE NSW International Student Guide 2026 および同校の各コースページの記載です。年度や入学期により変動します。最新額は当社から TAFE NSW に確認してご案内します。
不動産の「価値」を、法令・市場・建物・土地利用の4方向から根拠づけて算定する技術を、3年かけて積み上げる学位です。TAFE NSW は自校のページで「オーストラリア唯一の鑑定評価に特化した学位」と説明しています。
扱う領域は、不動産法と土地の権原、評価理論と評価手法(比較法・収益還元法・原価法)、建物構造と建築読解、都市計画・ゾーニング規制、不動産経済とマーケット分析、投資分析とファイナンス、資産管理、専門職としての倫理と報告書作成です。最終学年は実務に近い評価レポートの作成が中心になります。
TAFE NSW のコースページには、この学位が API の accreditation を受けており、修了生は 2年以上の実務経験をもって Associate Level Membership(AAPI)の申請資格を得ること、および実務経験に応じて Certified Practising Valuer(CPV)の申請資格を得ることが記載されています。豪州では鑑定業務を受注するうえで CPV が事実上の入場券です。
API の course accreditation 一覧ページ上、TAFE NSW の accreditation 期間は「2021年1月1日〜2025年12月31日」と表示されています。同ページには更新日の記載がなく、Bond・QUT なども同じ日付で並んでいるため、ページ側が古いまま更新されていない可能性が高いのですが、当社としては断定しません。ご検討の段階で API と TAFE NSW の双方に現況を確認したうえでご案内します。この点を伏せずに書いているのは、ここが進路の前提になる情報だからです。
NSW の Class 2 不動産免許の教育要件にあたる資格です。training.gov.au の資格書では全18ユニット=コア5+選択13、入学要件は「この資格に入学要件はありません」と明記されています。
NSW で Class 2 免許を取るには、この5コアに加えてグループA(住宅売買)から5ユニット、グループB(住宅賃貸管理)から5ユニット、さらに選択3ユニットという組み方が指定されています。TAFE NSW の留学生向けコースページも「NSW Fair Trading に Class 2 免許を申請するための教育要件を満たす」と記載しています。
現行版は Release 3(2021年5月20日)です。Release 1 からの変更は選択グループF へのユニット追加のみで、コア構成は変わっていません。
ANZSCO(オーストラリア・ニュージーランド標準職業分類)でどこに位置づけられるかは、そのままビザの可否につながります。2245(Land Economists and Valuers)と 6121(Real Estate Sales Agents)では、スキルレベルが 1 と 3 で決定的に違います。
| ANZSCO | 職種 | スキルレベル | 到達に必要な学歴 | どちらのコースから |
|---|---|---|---|---|
| 224512 | Valuer(不動産鑑定) | 1 | 学士以上 | Bachelor of Property Valuation |
| 224511 | Land Economist(土地経済) | 1 | 学士以上 | Bachelor of Property Valuation |
| 612115 | Real Estate Representative(不動産営業) | 3 | Cert III/IV 相当 | Certificate IV |
| 612112 | Property Manager(賃貸管理) | 3 | Cert III/IV 相当 | Certificate IV |
API の accreditation 一覧に掲載されている課程は、TAFE NSW・UTS・Western Sydney University・Bond・QUT・University of South Australia・RMIT・Curtin など、すべて学士以上です。Diploma・Advanced Diploma・Certificate は1件も載っていません。
なお API 自身は AQF のレベルを明示した文書を公開していません。上記の「学士以上」の根拠は、API の文面(「API の accreditation を受けた degree」「higher education course」)と、ABS・VETASSESS という政府側の記述の組み合わせです。API が「VET Diploma では不可」と明言した文書を確認したわけではないため、その点は正確にお伝えしておきます。
| 職業リスト | 224512 Valuer | 224511 Land Economist | 612115 Real Estate Rep | 612112 Property Manager |
|---|---|---|---|---|
| CSOL(482 Core Skills/186 Direct Entry) | 掲載あり(項目77) | 掲載あり(項目76) | なし | なし |
| MLTSSL(189/190/491/485) | 掲載あり(第8条 項目22) | 掲載あり(第8条 項目21) | なし | なし |
| STSOL | なし | なし | なし | なし |
| ROL(地方指定など) | なし | なし | 掲載あり(第10条 項目77) | 掲載あり(第10条 項目76) |
| 技能査定機関 | VETASSESS(グループA・学士以上) | VETASSESS(グループD) | ||
CSOL は 2024年12月7日施行の LIN 24/089(F2024L01620)で導入され、456職種が掲載されています。subclass 186(永住・雇用主指名)の Direct Entry ストリームに対応する版は LIN 24/093(F2024L01618)です。189/190/491/485 は従来どおり LIN 19/051(F2019L00278)の MLTSSL/STSOL/ROL を使います(現行版は 2026年3月28日施行)。
LIN 19/051 第7条(1)表の項目2は、subclass 485 に適用されるリストを「Medium and Long-term Strategic Skills List(MLTSSL)」と定めています。同法令に「Core Skills Occupation List」という語は一度も出てきません。結果として次のようになります。
滞在可能期間については、政府系の情報源の間で記載が一致していないため、当ページでは年数を書きません。ご相談時点の条文を登録移民代理人が確認してお伝えします。
224512 Valuer は CSOL と MLTSSL の双方にありますので、雇用主指名の 482(Core Skills)・186(Direct Entry)と、独立技術移住 189・州指名 190/491の両系統が制度上は視野に入ります。186 Direct Entry は VETASSESS の技能査定が別途必要です(F2024L01618 第6条(3))。ただし州指名は毎年度更新される別制度で、MLTSSL に載っていることは NSW が指名することを意味しません。NSW の 2026-27 年度リストは本ページ作成時点で未確認です。
なお、API は 224512 の技能査定機関ではありません。LIN 19/051 にも F2024L01618 にも「Australian Property Institute」という語は現れません。査定は VETASSESS のみです。この点は業界内でもよく混同されています。
ビザとは別に、「働くための免許」の制度があります。エージェント側と鑑定側でまったく仕組みが違いますので、分けて説明します。
| 段階 | 教育要件 | 実務要件 | できること |
|---|---|---|---|
| 登録証 Certificate of Registration (Assistant Agent) | CPP41419 のコア5ユニット | 16歳以上/fit and proper/免許保持者に雇用され Class 1 の Licensee in Charge の監督下にあること | 補助業務。売買契約や媒介契約の締結、信託口座からの出金承認はできません。有効期間4年・更新不可で、その間に Class 2 へ進む必要があります |
| Class 2 免許 | CPP41419 全課程(コア5+グループA5+グループB5+選択3) | 登録証保持で12か月以上+作業ログブック(Part 1 で9項目、Part 2 で5項目)/18歳以上/過去10年に詐欺・不正の有罪歴がないこと | 売買・交換の媒介、賃料・敷金・手数料の受領など、実務の中心 |
| Class 1 免許 | CPP51122(または CPP51119・CPP50307)Diploma of Property (Agency Management) =TAFE NSW では取得不可 | 無制限の Class 2 を2年以上保持 | Licensee in Charge になれる/個人事業として独立できる/信託口座の開設・管理 |
継続教育(CPD)は7月1日〜翌年6月30日が1年度。Class 2 の不動産は年7時間、ストラータ管理は年6時間。Class 1 はこれに加えて NSW Fair Trading の対象フォーラムへの出席が必要です。未履行は免許の停止・取消のほか、最大 AUD 11,000 の裁判所罰則の対象になり得ます。Assistant Agent は「毎年 Certificate IV の3ユニット以上」が CPD ですので、CPD がそのまま Class 2 への進学になります。
法令上、免許・登録証の要件に国籍・永住権・ビザ種別の条件はありません(Service NSW の要件一覧には年齢・fit and proper・欠格事由・NSW 内の事業所所在のみ)。障壁は法律ではなく雇用と時間です。Certificate IV は0.5年ですので、そのために発給される学生ビザの期間内に「12か月の実務」を積むこと自体が成り立ちません。
NSW は 2016年3月1日をもって、鑑定士の登録制度を廃止しました。Valuers Registration Act 1975 → Valuers Act 2003 と続いた制度が、Regulatory Reform and Other Legislative Repeals Act 2015 (NSW) No 48 第3条(q)(r) により廃止されています。Revenue NSW も「NSW で不動産鑑定業を営む者に登録を求めていた Valuers Act 2003 は、2016年3月1日付で廃止された」と明記しています。
廃止理由は 2015年10月21日の第二読会説明で述べられており、「本州の鑑定士は複数の職能団体によって能力を担保されており、その存在が政府による免許制度の必要性を除いている」という趣旨です。
つまり NSW では、API の会員資格が事実上の免許として機能しています。Revenue NSW は「適格者(suitably qualified person)」を「学生会員・仮会員を除く API の会員、または Chartered Valuer の称号を持つ RICS 会員」と定義しています。NSW Valuer General の採用ページも「保有資格は Australian Property Institute の会員基準に沿っている必要があります」と書いています。
クイーンズランド州・西オーストラリア州・タスマニア州は、いまも州法で鑑定士を登録・免許制にしています。州によって制度が違う点は押さえておいてください。
実務経験を積む期間中の監督者要件は、2025年版の会員ガイドラインには記載がありません(2017年の旧文書にのみ言及があります)。ここは未確認としてお伝えします。
| Valuers 224512 | Land Economists 224511 | Real Estate Reps 612115 | Property Managers 612112 | |
|---|---|---|---|---|
| 週あたり収入 | AUD 2,021 | AUD 2,021 | AUD 1,320 | AUD 1,320 |
| 就業者数(全国) | 5,200 | 8,700 | 13,200 | 39,200 |
| うち NSW | 1,643(31.6%) | 3,062(35.2%) | 3,749(28.4%) | 12,818(32.7%) |
| 将来の成長見通し | Very strong | Very strong | Strong | Strong |
| 学士以上の保有率 | 57.8% | — | 19.4% | 19.7% |
| 年齢中央値/女性比/フルタイム比 | 41歳/25%/84% | 43歳/30%/82% | 43歳/42%/75% | 43歳/67%/72% |
それでも2245 群と 6121 群の間に週700ドル前後の差があるという事実は、この分野の進路選択にとって十分に意味のある情報です。NSW はいずれの職種でも全国最大の雇用地(およそ3分の1)である点も、シドニー留学の判断材料になります。
現行版は 2025年10月公表の 2025 OSL です(2026年版は本ページ作成時点で未公表)。916職種のうち273職種が不足、単位群では103群が不足と整理されています。判定語は Shortage/Metropolitan shortage/Regional shortage/No shortage の4段階で、都市部・地方の双方で充足率67%未満のときに「Shortage」となります。
ここは正直に書きます。2025年版は職種別の判定が XLSX データファイルの中にしか収録されておらず、当社の確認環境からは取得できませんでした(robots 制限とダウンロード制限)。したがって 224512・224511・612115・612112 の 2025年判定は、当ページでは書きません。参考情報として、2024年版では 224512 Valuer が NSW のみ不足、612115 が NSW と NT、612112 が NT のみ、224511 は掲載なしという整理でしたが、これは前年の数字であり、公表資料としては引用しません。最新の判定はカウンセリング時に確認してお伝えします。
業界規模の参考として、Rental, Hiring and Real Estate Services 産業は 2025年11月時点で全国 235,200人を雇用しており(全就業者の約1.6%)、前年比 +2,700人(+1.2%)です。NSW Fair Trading は 2024-25年度に6万4千件超の不動産免許と 4,053件のストラータ管理免許を所管しており、NSW のストラータ・スキームは8万6千件を超えています。
エージェント側で働く場合の法定最低額です。2026年7月1日発効の額(PR799386 による改定)は次のとおりです。
| 等級(第14.1条) | 週給 | 時給 | カジュアル時給 |
|---|---|---|---|
| Level 1(Associate)最初の12か月 | AUD 1,010.60 | AUD 26.59 | AUD 33.24 |
| Level 1(Associate)12か月経過後 | AUD 1,063.90 | AUD 28.00 | AUD 35.00 |
| Level 2(Representative) | AUD 1,119.10 | AUD 29.45 | AUD 36.81 |
| Level 3(Supervisory) | AUD 1,231.00 | AUD 32.39 | AUD 40.49 |
| Level 4(In-Charge) | AUD 1,287.30 | AUD 33.88 | AUD 42.35 |
通常労働時間は週38時間(第13.1条)、カジュアル割増25%(第11.2条)。フルコミッション(歩合のみ)の雇用形態は第16.7条で厳しく制限されており、Level 2 以上・21歳以上・免許または登録を保有・直近3年のうち12か月以上の該当実務・所定の収入基準(MITA)の達成が条件です。最低歩合率は雇用主の総手数料の31.5%(第16.7条(f)(i))。MITA の金額は法令上「等級賃金の年額換算の125%」という算式でしか定められておらず、Fair Work 側は金額を公表していません。業界団体が公表している金額は年換算の方法により食い違いがあるため、当ページでは数値を書きません。
| job tag 上の職業 | 平均年収 | コメント |
|---|---|---|
| 住宅・不動産営業 | 660.7万円 | 宅建士の年収を語る際の代替指標。job tag に「宅地建物取引士」という独立した職業ページは存在しません(全312職業を確認) |
| 不動産鑑定士 | 583.3万円 | 職業ページとして独立しています。合格者数が年150名前後という希少性の割に、平均値としては営業職を下回る点は率直にお伝えしておきます |
| マンション管理フロント | 528.7万円 | 豪州の Property Manager に最も近い職域 |
| ビル施設管理 | 452.3万円 | — |
厚生労働省 job tag の数値は令和7年賃金構造基本統計調査ベースに更新済みです。「令和6年調査に基づく」と記載している媒体は現時点では古い情報です。
ルートは 短答式試験(5月)→ 論文式試験(8月)→ 実務修習 → 修了考査 → 国土交通大臣による実務修習修了の確認 → 登録。実務修習は1年コースと2年コースの2種類で、修習年度は12月1日〜翌年11月30日。3単元=講義(16科目・eラーニング)/基本演習(4段階・計10日間)/実地演習(一般実地演習13件)で構成され、修了考査は記述と口述の2本立てです。実施機関は公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会の1機関のみです。
受験資格:「年齢、学歴、国籍、実務経験等に関係なく受験できます。」受験手数料は電子申請 12,800円。
| 年 | 区分 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年 | 短答式 | 1,675 | 606 | 約36.1% |
| 令和6年 | 論文式 | 847 | 147 | 約17.3% |
| 令和7年 | 論文式 | 981 | 173 | 約17.6% |
最終合格者は全国で年間150名前後という規模の資格です。実務修習の現行料金は、国土交通省が公開している積算資料が平成27年作成で前提が現行と一致しないため、当ページでは金額を書きません。
受験資格は「日本国内に居住する方であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験できます。」50問・四肢択一・2時間(登録講習修了者は5問免除の45問)。受験手数料 8,200円。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 合格者平均年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 241,436 | 44,992 | 18.6% | 35.9歳 |
| 令和7年度 | 245,462 | 45,821 | 18.7% | 36.2歳 |
「宅建の合格率は約17%」という説明は令和5年度以前の数字です。直近2年はいずれも18%台です。令和6年度合格者の職業構成は、不動産業30.6%/金融業9.0%/建設業8.9%/学生11.4%。なお合格しただけでは宅建士にはなれません。登録には、①宅地建物取引業の実務経験2年以上、②登録実務講習の修了、③国・地方公共団体等での宅地建物の取得・処分業務が通算2年以上、のいずれかが必要です。
先に前提をお伝えします。不動産鑑定士は、専修学校(いわゆる専門学校)にコースがほぼ存在しません。日本国内の現実的な学習ルートは資格予備校です。ここでは専門学校の代わりに、実際に多くの受験者が使っている2校と、学部教育としての比較先を1校挙げます。費用は各校サイトの掲載額です。
不動産鑑定士講座の代表的な選択肢。1.5年本科生(2027年合格目標)は教室講座/ビデオブースで 484,000円(税込・教材費含む)、Web通信 495,000円。全157回、別途入会金10,000円。2年本科生MAX(全252回)、論文本科生、短答本科生など段階別のコース設定があります。
宅建士講座は初学者向けの総合本科生Sが 165,000円(税込・全52回)で、教育訓練給付制度の対象(最大33,000円支給)です。
2027年試験目標のコース体系は、セット+論文コース(フル・全168講)400,000円〜、同(基礎・全124講)320,000円〜、鑑定評価基本セット(全50講)140,000円〜。いずれも LEC 会員割引前の価格です。学習経験者向けコースも別立てで用意されています。
宅建士講座はプレミアム合格(78時間)176,000円〜、パーフェクト合格(58時間)143,000円など。登録実務講習も扱っています。
TAFE NSW の Bachelor of Property Valuation に最も近い日本国内の対応物です。社会デザイン専攻(宅地建物取引士の取得をめざす)と不動産鑑定専攻(不動産鑑定士の資格取得をめざす)の2専攻。キャンパスは浦安(千葉県)と坂戸(埼玉県)。
構造の違いが分かりやすい比較です。豪州側は3年制で API の課程審査を通っており、卒業+実務2年で CPV の申請に直結します。日本側は4年制で、卒業後に別途、国家試験(短答式・論文式)と実務修習を経て登録に至ります。「学位が資格に直結するか、学位と資格が別立てか」という制度の違いが、そのまま所要年数と学習内容の違いになっています。
同学部のページには「日本唯一の不動産学部」という表記がありますが、これは大学側の説明であり、当社として第三者検証はしていません。
日本の鑑定士試験は「不動産の鑑定評価に関する理論」を中核に、行政法規・民法・経済学・会計学という科目立てで、試験合格のための体系として組まれています。TAFE NSW の学位は逆に、評価レポートを1本書き上げるまでの工程を分解して積み上げる構成です。建物構造の読解、都市計画規制の調査、比較事例の収集、収益還元のモデリング、そして報告書という成果物。「試験に受かる力」ではなく「成果物を出す力」から入るのが、最も大きな差だと考えています。どちらが優れているという話ではなく、日本で先に試験勉強をしていた方ほど、この違いに手応えを感じる傾向があります。
TAFE NSW が国内学生向けに公開している要件は、NSW の高校卒業資格(HSC)またはこれに相当するもの、もしくは Certificate IV in Tertiary Preparation の修了、もしくは Certificate IV 以上の資格の修了。これに加えて500語のエッセイと入学前面接(場合により読解・数理の評価を伴う)があります。留学生の場合は日本の高等学校卒業+成績の評価が起点になりますので、書類をお預かりして TAFE NSW に照会します。
Certificate IV からのパッケージ入学(CPP41419 → HE20507、計3.5年)が用意されています。高校卒業からストレートに学士へ進むのが難しい場合の、実質的な迂回路です。
training.gov.au の資格書上は「この資格に入学要件はありません」。TAFE NSW 側の要件(学歴・英語)は別途設定されます。
この2コースについて、TAFE NSW が公表しているコース別の IELTS 要件を、当社の確認時点では一次情報として取得できませんでした(英語要件の PDF が 404 を返す状態です)。確認できた記載は、International Student Guide 2026 の「General English を修了すると、IELTS 6.0 を入学要件とする TAFE NSW の職業教育コースへ直接進学できます」という一文のみです。学士課程は通常これより高い水準が求められます。コース別の必要スコアは、お申込みの都度 TAFE NSW に確認してご案内します。
英語力が要件に届いていない場合は、TAFE NSW の語学課程から積み上げる方法があります。提携語学学校からの進学ルートも含めて、こちらにまとめています。
| コース | CRICOS | 期間 | 留学生学費 | キャンパス/入学 |
|---|---|---|---|---|
| HE20507 Bachelor of Property Valuation | 089229K | 3年 | AUD 52,080〜 コースページ表記は 52,080〜57,840 | Ultimo/2月・7月 |
| CPP41419 Certificate IV in Real Estate Practice | 107417H | 0.5年 | AUD 10,425〜 コースページ表記は 10,425〜11,840 | Ultimo/2月・7月 |
| パッケージ(Cert IV → 学士) | 089229K | 3.5年 | AUD 62,505〜69,680 | パッケージページにキャンパス・入学期の記載なし。個別コースの条件に準じます |
上記のほか、教材・制服・機材等の費用が1コースあたり AUD 300〜1,000程度かかるとコースページに記載されています。学費に幅があるのは入学年度による差と推測されますが、TAFE NSW 側にその旨の説明がないため断定はしません。学生ビザ申請には別途、海外学生健康保険(OSHC)と生活費の証明が必要です。当社は推測の見積りを出しません。ご希望の入学期を前提に、TAFE NSW から取り寄せた最新額でお見積りします。
制度上の自動免除はありません。豪州の職業教育には RPL(既習事項の評価)という仕組みがあり、学習内容や実務経験が該当するかを個別に審査します。ただし宅建は日本の宅地建物取引業法を対象とする資格ですので、CPPREP4003(不動産法令の読解)のように豪州の州法を扱うユニットとの重なりは限定的です。むしろ活きるのは、学生ビザ申請時に「これまでの学習・職歴との関連」を説明する場面です。ここは当社の得意分野ですのでご相談ください。
教育要件は満たせます。ただし実務で使うには、①免許保持者に雇用されて登録証を取り、②Class 1 の Licensee in Charge の監督下で12か月以上働き、③ログブックを完成させる必要があります。学生ビザの就労上限は就学期間中2週間で48時間で、コース自体が0.5年です。この組み合わせでは現実的に成立しません。就労権を得た後に活きる資格、という位置づけでお考えください。
いいえ。学位の修了は永住を保証するものではありません。224512 Valuer が CSOL・MLTSSL の双方に掲載されているというのは「そのルートを検討できる」という意味であり、実際には技能査定(VETASSESS)、英語力、年齢、職務経験、雇用主や州の状況といった複数の要素で結果が変わります。職業リストと州指名の条件は毎年見直されます。当社は登録移民代理人が在籍しており、ご相談時点の制度に基づいて可能性と条件を具体的にご説明します。
ありません。技能査定機関 VETASSESS の Valuer 224512 の要件が「AQF 学士以上に相当する資格」で、Diploma 相当の代替ルートが設けられていないためです。API の課程一覧に掲載されているのも学士以上のみです。3年という期間そのものが、この職種の参入障壁として機能しています——裏を返せば、それが希少性と週収の差(2245群と6121群で週700ドル前後)の理由でもあります。
あります。UTS(Bachelor of Property Economics ほか)、Western Sydney University(Bachelor of Business (Property))、Bond University、QUT、University of South Australia、RMIT、Curtin などが API の課程一覧に掲載されています。学費・立地・入学要件・accreditation 期間が学校ごとに異なりますので、比較のうえでご案内します。なお WSU の学位名は「Bachelor of Business (Property)」であり、「Bachelor of Property」という名称の課程は同大学にはありません(日本語の情報でよく間違われています)。
資格取得という一点だけを見れば、遠回りです。日本の試験は学歴要件がなく、豪州の学位が加点されることもありません。ただし、①評価理論そのものは国際的に共通する部分が大きく、②論文式試験で問われる経済学・会計学の素地は学位課程で扱われ、③英語で不動産を扱えることは日本の鑑定事務所・ファンドでも希少です。「資格は日本で、専門性と英語は豪州で」という二段構えなら、遠回りではありません。目標時期と予算を伺って、順番を一緒に設計します。
学歴・職歴・英語力・ご予算・目標時期をうかがって、このコースが現実的かどうかを率直にお伝えします。合わないと判断した場合は、その理由と代わりの選択肢もお出しします。
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